難化するFRBの舵取り
-前営業日サマリー-
ドル円は151.41円でオープン。東京市場では、日銀の早期利上げ観測の高まりから午前は円高優勢の地合い。ただ、今週のインフレ関連発言で円高を誘った赤沢再生相が、デフレ脱却に至っていないとややトーンダウンしたこともあって一転して円売りが進行しました。ロンドン市場では米雇用統計の発表を控えて調整色の強い相場展開となり、円買い巻き戻しの動きが進みました。NY市場では米雇用統計の結果を受けて一時乱高下し、その後はドル売り・円買い方向へ推移。ドル円は151.41円で取引を終えました。
-難化するFRBの舵取り-
本日のイベントは、日国際収支、日景気ウォッチャー調査、欧ラガルドECB総裁発言が控えておりますが、特段注目度の高い経済指標は予定されていません。
米労働省が先週公表した1月の雇用統計は米経済の底堅さを示す内容となりました。非農業部門の就業者数は直近3か月間の月平均で23.7万人増。今年は年次改定によって2023年の伸びが21.6万人、24年は16.6万人のペースに下方修正。時間をかけてトランプ政権の動向を見極めたいFRB高官からは「弱含みも過熱の兆候もない健全な労働市場」と安堵の声が漏れる内容でした。ただ、同日に公表されたミシガン大消費者信頼感指数の結果では、短期的な物価見通しを示す1年先予想インフレ率が4.3%と前月から上昇。2023年11月以来の高水準を記録。トランプ米大統領が輸入品への関税強化に動くなかでインフレ再燃リスクが意識される内容でした。今回の結果はFRBも無視できない数字となるのではないだろうか。堅調な労働市場を確認した一方、期待インフレ率の増加によってFRBの政策への舵取りは一層難易度を増しています。今後も米指標の強弱を確かめながら政策金利の見通しを見極めていく必要がありそうです。
また、先週は石破首相とトランプ大統領の会談も行われ、その場でUSスチールの件や関税に関する言及が行われました。関税に関してはトランプ氏が「相互関税については10日か11日に協議」との発言も伝わっています。総合的に見れば平和的な結果となった会談なため、相場への影響は限定的とみていますが、関税に関するヘッドラインからボラタイルな相場展開を見せる可能性も考慮しておく必要があります。引き続きヘッドラインに注視しておきましょう。