今週は植田総裁の講演や「主な意見」に注目
-前営業日サマリー-
ドル円は157.38円でオープン。東京市場では、日銀の早期利上げ期待後退を背景に157円台後半まで上昇しましたが、節目の158円を前に一服すると、加藤財務相などの円安けん制発言を受けて156円台後半まで失速しました。ロンドン市場では上値が重い展開が続き、概ね156円台後半で推移。米PCEデフレーターの結果が予想を下ぶれたことを受けて、一時156.32円までドル売りが先行しました。NY市場では、目立った材料もなく概ね156円台前半での方向感の値動きとなり、156.45円で取引を終えました。
-今週は植田総裁の講演や「主な意見」に注目-
本日のイベントは、英四半期GDP(改定値)、カナダ月次GDPなどが予定されています。
先週18日のFOMCでは大方の予想通りの0.25%利下げ、FOMC参加者の経済見通し(SEP)では来年の利下げ回数が4回から2回に減るなどタカ派的な利下げとなりました。日銀金融政策決定会合では、こちらも事前の大方の予想通りで据え置きに、植田総裁からは利上げには賃金データの確認とトランプ政権の不確実性を見極めたい旨の発言があり、ハト派的な利上げ見送りとなりました。これらFOMCと日銀金融政策決定会合の結果を受けて、ドル高円安が大きく続伸しました。
そして、今週は植田総裁の講演と「主な意見」公表が予定されています。「主な意見」とは、日銀金融政策決定会合での9人の政策委員の発言内容を整理して公表するものです。植田総裁からは、賃金とトランプ政権について言及がありましたが、賃金については春闘の集中回答日は3月中旬、トランプ政権の政策についても実施の時期などは現時点では不透明であり、20日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む1月の金融政策決定会合での利上げ確率は約4割強と5割を下回っており、0.25%利上げを完全に織り込んでいるには5月会合になっています。利上げのメインシナリオとしては現在3月会合となっていますが、植田総裁の講演や「主な意見」で追加利上げの時期について見極める材料が新たに出てくれば、円の動意となる可能性があることから注目しておきたいです。
ドル高円安が更に進むようであれば、トランプ次期大統領の円安牽制発言などには警戒しておきたいことから、関連ヘッドラインには注意しつつ、今週も取引に臨みたいです。