中村日銀審議委員の発言に注目
-前営業日サマリー-
ドル円は149.58円でオープン。東京市場では、午後に日銀が12月金融政策決定会合での利上げに消極的であるとの一部報道が伝わると円売り・ドル買いに傾き、150.00円付近を挟んでの値動きとなりました。ロンドン市場では、日銀の年内利上げ観測後退の流れを受けて上昇、151.20円付近まで上値を伸ばしました。NY市場では、米ADP雇用統計は予想を少し下振れ、米ISM非製造業も52.1と予想の55.0から大幅な下振れを受けて150.00円付近まで下落しました。もっとも、パウエルFRB議長の米国経済に強気な姿勢の発言が伝わると150.60円まで切り返して取引を終えました。
-中村日銀審議委員の発言に注目-
本日のイベントは、豪貿易収支、中村日銀審議委員発言、英建設業PMI、加貿易収支、米新規失業保険申請件数、米貿易収支が予定されています。
日銀の利上げ観測については、先週の東京CPIでコアCPIが前年同月比で2.2%上昇と2%を上回る結果となったこと、連合が来年の春闘での賃上げ目標を全体で5%以上としたことが日銀の年内12月会合での利上げにポジティブな材料になったと捉えられ、植田総裁が追加利上げに時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいている」という認識を示しことも12月利上げの地ならしの発言と受け止められて、翌日物金利スワップ(OIS)市場が織り込む12月利上げ確率も6割前後で推移していました。ところが、昨日になり日銀の年内金融政策維持などの一部報道が伝わるなど、利上げの観測が後退して、市場の年内利上げの織り込みは3割程度まで後退しています。
そして本日は「金融経済懇談会」での中村日銀審議委員の発言が予定されています。中村委員は7月利上げの際に反対をするなど、日銀政策委員会委員メンバーの中で最も八ト派と目されています。年内利上げ観測が後退するなか、中村委員からはハト派の姿勢が示されると想定されますが、もし早期利上げを容認するような発言などが出てくれば円買いの動意が生じる可能性も考えられるため、ヘッドラインには留意しつつ、本日も取引に挑みたいです。