豪州のインフレと政策金利:今日のCPIが示す経済の方向性
-前営業日サマリ-
ドル円は154.55円でオープン。東京市場では154円台中盤から後半の高値圏で推移し、一時154.87円と34年ぶりの高値を更新する場面もありました。鈴木財務相は17日の日米韓財務相会合で講じられた円安・ウォン安に関する共同声明に対し「適切な対応につながる環境が整ったととらえられてもいい」と発言するも、相場への影響は限定的でした。ロンドン市場では欧州各国でPMI速報値が発表され、独・仏などユーロ圏では製造業PMIは予想を下回るも、サービス部門PMIが年初来の高水準となると全面ユーロが買われ、ユーロドルは一時1.06950ドルまで上昇しました。NY市場では米PMIが市場予想を下ぶれ、さらに好調な米2年債入札の結果を受けるとドルが全面的に売られる展開となりましたが、ドル円はすぐに反発し最終的に154.81円で取引を終えました。
-豪州のインフレと政策金利:今日のCPIが示す経済の方向性-
本日のイベントは、豪消費者物価指数(CPI)、加小売売上高、米耐久財受注が予定されており、主要国市場は通常通り開場となります。
本日発表予定の豪CPIの市場予想は3.4%で、2023年1月に記録された7.8%のピークから徐々に目標範囲に近づいていますが、オーストラリア準備銀行(RBA)が掲げるインフレ目標範囲2-3%をまだ上回っている水準にあります。また、豪政策金利は2022年4月まで0.1%という非常に低い水準でしたが、その後のインフレ圧力と世界的な利上げ基調が相まったことで急速に金利が引き上げられ、現在は4.35%で据え置かれています。この金利水準の変化はCPIとの密接な連動性を示しています。
RBAのブロック総裁は、インフレ抑制のための追加利上げを排除しない姿勢を示し、「インフレ目標への復帰が最優先課題であり、合理的な期間内にそれが実現すると十分に確信できるまで時間がかかる」と述べており、市場におけるCPIへの関心を高めています。また、為替市場では足元2014年以来となる1豪ドル100円を突破し、現在も100円付近の高水準で取引が続いている事からも豪ドル為替レートに影響力を持つCPIに注目が集まっています。
最近では日本等を除く世界各国で利下げムードが広がりつつありますが、RBAは利下げよりもインフレを抑える事に重きを置く姿勢を見せているからこそ、CPIの結果次第では政策金利の方針が変更されるかもしれません。その他にも連日続く本邦為替介入警戒等を念頭に置きつつ本日も取引に臨みたいです。