ジャクソンホール会議、パウエルFRB議長講演に注目、自然利子率への言及に一部思惑も
-前営業日サマリー-
ドル円は144.80円でオープン。東京市場では、株高によるリスクオンムードがクロス円の自律反発を後押し、ドル円は145.19円まで上昇しました。ロンドン市場では、トルコが政策金利を発表、事前予想は20%への利上げだったのに対して25%まで利上げしてトルコリラが大幅高、5.32円から5.74円へ約7%上昇しました。ニューヨーク市場では、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁が年内追加利上げ・利下げ転換を否定してドル安へ、その後コリンズ・ボストン連銀総裁が追加利上げの可能性に言及してドル高へ、ドル円は145.43円から145.90円のレンジで動いたのち、145.86円で取引を終えました。
-ジャクソンホール会議、パウエルFRB議長講演に注目、自然利子率への言及に一部思惑も-
本日のイベントは、日本東京都区部CPI(消費者物価指数)、独GDP(改定値)、独IFO景況感指数、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁発言、米ミシガン大消費者態度指数(確報値)、パウエルFRB議長講演(ジャクソンホール会議)、ラガルドECB総裁発言が予定されています。特に注目すべきは、パウエルFRB議長講演です。
例年8月下旬に行われるジャクソンホール会議では、FRB議長の講演が行われ、9月以降の金融政策について重点を置くポイントや方向性が示されるケースが多くありました。昨年2022年は、翌月の0.75%利上げ・早期利下げを否定する考えが示され、2021年は年内テーパリング(量的緩和縮小)を言及、2020年はコロナ対応で行っていたゼロ金利政策をインフレ率2%超でも続ける方針が打ち出されてきました。
今年のジャクソンホール会議では、
・足元のインフレ鈍化に対する考え
・5%半ばの景気抑制的な政策金利をいつまで続けるか
などについて、ヒントを探る展開になるだろうと考えられます。
マーケットの思惑として「自然利子率」についても言及されるのではないかと、一部では考えられているようです。自然利子率とは「景気に中立的な実質金利」と一般的には言われています。中央銀行が政策金利を決めるときに、インフレ率(米国は3%)+自然利子率(米国は0.5~1.0%程度と言われている)=3.5~4.0%程度が、いわゆる「平時」の政策金利となり、現在の5.25~5.5%は「平時」よりも高い「景気抑制的な水準」にしているととらえることができます。一部の思惑にあるようにパウエルFRB議長が自然利子率について発言して、例えば「自然利子率は高まった」など伝われば、「平時」の政策金利はインフレ率(米国は3%)+新たな自然利子率(例えば2%)=5%程度となり、現在の5.25~5.5%は「新たな平時」の政策金利に近く、無理をして利下げする必要はない、との思惑が広がるかもしれません。
パウエルFRB議長は、講演の冒頭で重要なことを話す年も多かったため、今夜は講演が始まる23時5分からボラティリティが大きくなる相場を想定して、本日も取引に挑みたいです。