金融不安は蒸し返し感、米国上院での公聴会を見極めへ
-前営業日サマリー-
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ドル円は130.76円でオープン。東京市場では、欧米金融不安への警戒感が根強い中で一時130.50円まで押し込まれるも、午後からは米株先物の堅調推移などもあってリスク回避姿勢がやや後退、131円を回復しました。ロンドン市場では、ドイツ銀行株の上昇などを受けてリスクオンの流れへ、円安が加速しクロス円は軒並み上昇、ドル円は131円台ミドル付近まで上昇しました。NY市場でも流れは継続、「米当局が地銀への緊急融資制度の拡充など支援策を検討」との報道が伝わる中で円売り・ドル買いが進み一時131.75円まで日通し高値を更新、やや戻して131.53円で取引を終えました。
-金融不安は蒸し返し感、米国上院での公聴会を見極めへ-
本日のイベントは、豪小売売上高、日黒田日銀総裁発言(FIN/SUM 2023にて挨拶)、英ベイリーBOE総裁発言、欧ラガルドECB総裁発言、米消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、米バーFRB副議長発言、米国上院公聴会(SVB破綻に関して)が予定されています。
先週末は欧米の銀行株が一時全面安、とりわけドイツ銀行は株価急落に加え、企業や国のデフォルトリスクを対象に取引されるCDSが急騰する中で為替はユーロ安・円高に振れました。これを受けて、ラガルドECB総裁による流動性提供への言及や、「SV銀行等への預金全額保護の対応は例外」との考えを示していたイエレン米財務長官が「正当な場合には追加の預金措置の準備」と発言、臨時の金融安定監視評議会の招集と積極姿勢に転じていることなどが警戒感の後退に寄与し、昨日からは一旦リスクオンの地合いとなっています。ただ、金融システム・信用不安の蒸し返しが印象付けられており、米FOMCほか主要国の金融政策発表が一巡した現状を踏まえると、当面はこれら「金融システム不安」がマーケットのメインテーマとして影響力を持ち続け、為替は市場の過敏なリスクセンチメントの変化に振らされる展開とみておきたいです。
そして本日から2日間に渡り、米国上院・下院にてSV銀行等の破綻に関する公聴会が開催され注目となります。ヘッドライン次第で引き続き円は活発な値動きが想定され、金融システムの健全性を強調する内容や追加の施策などが示された場合には、市場の警戒が一段和らぎ円安のシナリオも準備しておきたいです。しかしながら、不安要素がくすぶる中において、積極的に円が売られ続ける展開は考えにくく、クロス円は常に戻りも意識しておくべきでしょう。また、米ドルに関しては、先週FOMCにて年内利下げが否定されたものの、市場は年内3~4回程度の利下げを織り込みとギャップがみられています。安全資産としてのドル買いのみではドル円の上値余地も限定的ともいえるため、週を通してはダウンサイドに警戒、下値模索の展開を考慮しつつ、関連ヘッドラインを見極めていきたいです。