日銀総裁に植田和男氏 政府は14日に国会提示
-前日サマリー-
ドル円は131.52円でオープン。東京市場では、日銀正副総裁の指名を控え一方向の動きとはならず、131円台での方向感に欠ける展開となりましたが、ロンドン市場に入ると「政府、日銀新総裁に植田和男氏を起用する人事固める」との一部報道から円が急伸し、ドル円は129.80円まで円高が進みました。ただ、植田氏が報道各局のインタビューに対して「日銀の金融政策は適切、緩和的な政策を継続する必要」と述べたことで円高が一服し、その後は一転して円売りの流れから131円を回復する動きを見せました。NY市場ではもみ合い相場に終始し、ドル円はそのまま131.38円で取引を終えました。
-日銀総裁に植田和男氏 政府は14日に国会提示-
本日のイベントは、スイス消費者物価指数の発表が予定されています。
先週は4月8日に任期を迎える黒田日銀総裁の後任に経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏(71歳)を起用し、副総裁には氷見野良三前金融庁長官、内田真一日銀理事が後任とする人事を固めました。正式な就任は2月14日の国会提示から衆参両院の同意を経て任命されます。
新体制では金融政策の正常化が大きな課題となり、植田氏はこの重責を担うことになりそうですが、植田氏は今回の決定に対する報道各局のインタビューに対して継続的な緩和政策の必要性を述べたことから緩和姿勢をすぐに崩すことは考えにくいといえます。ただ、現政策の枠組みに対しては妥当性の検討が必要だと過去に述べており、特にYCCの柔軟化については「長期金利コントロールは微調整に向かない仕組み」と政策の問題点を挙げています。そのため、金融正常化に向けた舵取りを徐々に行っていく可能性は高いかもしれません。
政府から人事案が正式に示された後は、衆参両院の議院運営委員会で正副総裁候補者から金融政策に関する所信を聴取する予定となっています。発言は慎重なものとなりそうですが、今後の正常化への見方が示されば市場への反応も大きなものとなることが想定されるため、相場の方向性を占う上での重要イベントとして注目が集まります。仮に正常化への道筋が示された場合にはドル円も円高方向への動きを強めることが考えられます。次期総裁候補の判断を見極めながら今後の相場の方向性を見定める必要がありそうです。