G20、過度な為替変動の回避を再確認
-前日サマリー-
ドル円は139.30円でオープン。ポーランドへのロシア製ロケット弾の着弾から地政学リスクの高まりが意識され一時138.74円まで下落も、バイデン米大統領が「ロシアから発射された可能性は低い」と発言すると地政学リスクが後退し、140.29円まで上昇。その後は米長期金利の低下とともに徐々に上値を切り下げました。米小売売上高が発表されると、予想以上の結果に一時140.03円付近まで上昇したものの、米鉱工業生産が予想を下回り139.05円付近まで下落しました。NY市場の終わりにかけては139.25~139.70円のレンジ相場となり139.53円で取引を終えました。
-G20、過度な為替変動の回避を再確認-
本日のイベントは、英中期財政計画発表、豪雇用統計、米住宅着工件数、米フィラデルフィア連銀景況指数、そして米FRB主要メンバーの発言が予定されています。
昨日、インドネシアで開かれていたG20サミットが閉幕しました。ポーランドへのミサイル落下で一部予定が変更されるなど予想外の出来事に見舞われながらも、首脳宣言では、米国の積極的な利上げによる影響への懸念に触れたうえで、各国中銀は過度な為替変動の回避に努めるとの認識が示されました。ここ数か月の米CPIの傾向からインフレ圧力は徐々に弱まっているとみられますが、万が一再び物価上昇圧力が高まり米国が大幅利上げに踏み切るようなことがあれば、日本はこれまで以上に、急激な為替変動を回避するための行動が取りやすくなったとも言えるでしょう。
本日は、多くのFRB主要メンバーの発言があり、12月FOMCでの利上げについて言及があるか気になるところですが、フィデラルフィア連銀製造景気指数にも注目したいです。市場予想は-6.2と、前回の-8.7、前々回の-9.9から2か月連続の改善を見せる見込みです。本日のフィデラルフィア連銀製造景気指数が予想通り、もしくは予想を上回れば、クリスマスシーズンやインフレピークアウトを控えているため、短期的には景況感悪化懸念が後退しドル買いに動くと考えられます。しかし来年以降の景気後退観測が強まっていることから、ドル高・円安も長くは続かずドル円の上値は重いと見られます。