日銀金融政策決定会合は円安を誘うか、日米イベントでドル円再浮上の可能性
-前営業日サマリー-
ドル円は146.33円でオープン。序盤から上値重たく午後には円が全面高の展開、米系短資筋による円売りポジションの調整・買い戻しが入ったなどの観測の中でクロス円は軒並み円高に振れ、ドル円は一時145.11円まで下落しました。欧州市場では米長期金利の上昇と共に一転ドル高へ、ドル円は146円台を回復し146.93円まで日通し高値を更新しました。また、迎えたECB政策金利では事前予想通り0.75%の利上げが発表されるも、セルザ・ファクトの動きもありユーロ売り優勢となりました。加えて、その後のラガルドECB総裁の会見にて「経済見通しのリスクは明らかに下方向」など弱気発言が伝わるとユーロ安が一段加速、ユーロ円は147.40円台から145円後半まで下落したほか、ユーロドルは円実に回復したパリティ水準を割り込む動きとなりました。NY市場では米長期金利が低下に転じるとドル円は再び145円台まで下押し、注目された米四半期GDPは予想上振れの結果ながら、同時発表の米耐久財受注が下振れで強弱入り混じったことで材料視されにくい結果となりました。その後は146円台乗せて推移するも戻り売りに押され、146.22円で取引を終えました。
-日銀金融政策決定会合は円安を誘うか、日米イベントでドル円再浮上の可能性-
本日のイベントは、豪第3四半期生産者物価指数、日金融政策決定会合・政策金利/黒田日銀総裁会見、独第3四半期GDP/消費者物価指数、加GDP、米個人所得・個人消費支出(PCE)/中古住宅販売保留が予定されています。
とりわけ注目は日銀金融政策決定会合となり、日米の指標内容からドル円の方向感を探っていきたいです。正午過ぎの日銀政策金利発表に関しては、今回も金融緩和継続で現状維持が見込まれています。為替介入の実施を受けて政府・日銀の政策矛盾が指摘されていますが、鈴木財務相はあくまで過度で急速な為替変動への対応を介入の根拠としています。つまりは、安定的な物価上昇などを目指す金融緩和の継続とは目的が異なるとして遠慮なく緩和維持が主張できる状況であり、円安による物価上昇圧力の渦中でも政策修正の可能性は限りなく低いといえます。また、大規模介入を経て黒田総裁の多少のトーンの変化は考えられますが、前回までのハト派色を踏襲する内容であれば、これまで通り円安イベントになる公算は高いとみておきたいです。
このほか、NY時間には米個人消費支出(PCE)が予定されており、米FOMCメンバーがインフレ指標として特に注視しているPCEコア・デフレーター(前年同月比)は前回から伸び加速の予想となっています。コンセンサス通りであればインフレ抑制のための米FRB大幅利上げを後押しする材料であり、足元の米利上げペース減速への思惑に一石を投じ、米長期金利やドル地合いが変化する可能性も想定しておきたいです。以上を踏まえ東京時間からの活発な値動き、ドル円は150円近辺に向け浮上するシナリオも考慮しつつ取引に臨みたいです。