米雇用統計、2つのシナリオ
-前日サマリー-
ドル円は144.58円でオープン。東京市場では、144円後半の水準ということで政府による円買い介入が意識され上値が重たい展開、144.40円から144.70円のレンジ相場となりました。ロンドン・NY市場では、積極的な円売りの流れは見られなかった一方で、対ユーロや対ポンドでのドル高がけん引してドル円も上昇、一時145.13円まで上昇して取引を終えました。
-米雇用統計、2つのシナリオ-
本日のイベントは、米雇用統計、豪RBA四半期金融政策報告、独小売売上高、カナダ雇用統計が予定されています。特に注目すべきは米雇用統計です。
今夜21時半に発表される米雇用統計の事前予想は、非農業部門雇用者数が+25万人(前回:31.5万人)、失業率が3.7%(前回:3.7%)、平均時給が+0.3%(前月比、前回:+0.3%)と、前回と同程度に米労働市場は強いだろうと予想されています。雇用者数のアナリスト予想も確認すると、+19.9万人~+38.9万人の範囲に分布しており、市場予想コンセンサス(+25万人)を上振れするだろうといった予想のアナリストが多数見られます(Bloombergより、10月6日時点)。
事前予想並みか予想上振れの結果の場合、FRBが進める利上げペースは鈍化しないとの思惑からドル高へ反応する可能性もあります。しかし、ドル円は急ピッチな上昇となる場合、政府・日銀による円買い介入が意識されると考えられるため、上昇後に反落するシナリオも考えられます。
米雇用統計が予想を下振れする結果ならば、ドル売り圧力はより大きい可能性もあります。アナリスト予想の分布では、非農業部門雇用者数変化が市場コンセンサスを上振れするだろうとの予想が多く確認されるためです。今週発表された米経済指標を振り返ると、ISM製造業景況指数は50.9(前回:51.8)とリセッションラインに迫る結果、米雇用動態調査(JOLTS)では企業が出す求人数の減少が確認されました。これらの弱気な経済指標に続く形で、今夜の米雇用統計でも労働市場の減速が確認できる場合はドル安への圧力が強まることが考えられ、ドル円も下落方向であれば為替介入が意識される方向とは逆のため、下落余地は大きい可能性があります。株式市場では弱い雇用統計に対して株高で反応する「Bad news is Good news」の動きも想定されますが、ドル円については雇用統計の結果に素直に反応するシナリオを想定して、本日は取引に挑みたいです。