為替介入の空砲、レートチェック発動
-前営業日サマリー-
ドル円は144.55円でスタート、朝方に神田財務官「あらゆるオプションを排除せず」との口先介入で144.05円まで円高へ、その後日銀が通常の国債買い入れオペ(長期債)を5000億円から5500億円へ緊急増額したと伝わると144.83円まで反発しました。午後に入ると、日銀が「レートチェック(民間銀行へ為替レートを問い合わせる、為替介入の空砲とみなされている)」を実施したと伝わると144.36円から143.54円へ急落、東京市場では為替介入のトーンが一段と高くなったことで円高の動きとなりました。ロンドン・ニューヨーク市場でも、為替介入が現実味を帯びてきたことが意識されて円が買い戻され、ドル円は143.18円で取引を終えました。
-為替介入の空砲、レートチェック発動-
本日のイベントは、日本ゴトー日、ニュージーランドGDP、日本貿易統計、豪雇用統計、米小売売上高、米NY連銀製造業景気指数、米フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米新規失業保険申請件数、米鉱工業生産が予定されています。
為替介入のレベル感が一段上の水準になりました。年初から続く円安、為替相場の値動き激化を受けて、日本の当局者らの発言で為替市場をけん制する「口先介入」が続いてきましたが、「レートチェック」と呼ばれる日銀が民間銀行へ為替レートを問い合わせる、実弾介入の一歩手前の介入が行われました。日本において為替介入の実施権限を持つ鈴木財務大臣は「介入について、やるときは間髪入れずに瞬時にやる」と発言、為替市場はこれらの影響で円が買い戻される動きがみられましたが、円高も一時的となる可能性もあります。
実弾介入となると、日本単独で行うことになると想定されます。外国の金融当局と協調して行った「協調介入」は、近年だと2011年東日本大震災を受けた円売り介入、2000年ユーロ誕生黎明期のユーロ買い介入、1998年アジア通貨危機に対応した円買い介入と、大規模な有事への対応が多く、協調介入実現のハードルは非常に高いと考えられます。日本単独で円買い介入を実施する場合、財務省管轄の外貨準備「外為特会」で管理されている外貨が円買いの原資となります。今年8月時点では、外貨準備が1.3兆ドル(184兆円)、そのうち外貨預金が1361億ドル(19兆円)、国債などの証券が1兆ドル(148兆円)など、これらが外為特会の原資規模となっています(財務省HPより)。
ドル円は直近の高値(145円)を突破するまでは、為替介入が実際に行われる可能性は低いと考えられます。円買い介入に使える外貨準備残高に限りがあるためです。昨日の「レートチェック」介入では、円高局面が続きましたが、日本と外国の金融政策が逆の方向を向いている限り、円安トレンドは変わらないだろうとのシナリオがメインのため、ドル円145円突破までは当局者の介入示唆は押し目買いが正当化される可能性があります。当局者の口先介入を気にしながら、本日も取引に挑みたいです。