ドル円の底堅さは揺るがないか、米雇用統計を受けた上昇シナリオと注目ポイントは
-前日サマリー-
東京市場のドル円は135.93円でスタート、序盤に136円台に乗せるも調整売りに押され135.55円まで下落しました。その後、始値水準まで戻して欧州市場に入ると、欧州株や米長期金の上昇を背景に一時136.21円まで上昇しました。ただ、上昇一服後は再び135円台中盤まで押し戻されるなど、オープンから上下に方向感を欠く展開でした。また、英国のジョンソン首相の辞任表明が伝わると、市場では英政局の安定への期待感から全般ポンド買い優勢となりました。NY市場では、今月1日ぶりに3.0%台を回復した米長期金利の動きなども支えに持ち直し、ドル円は135.99円で取引を終えました。
-ドル円の底堅さは揺るがないか、米雇用統計を受けた上昇シナリオと注目ポイントは-
本日のイベントは、日貿易収支、欧ラガルドECB総裁発言、加失業率/新規雇用者数、米雇用統計/NY連銀総裁発言が予定されています。
いよいよ6月米雇用統計を迎えます。非農業部門雇用者数の市場コンセンサスは現時点で+24.0万人で、前回からは大幅な鈍化が見込まれています。米景気後退への懸念が強まっている渦中、仮に雇用者数が前月+39.0万人近くまで上振れるようであれば、一旦のリスクセンチメント改善、足元のリスクオフ巻き戻しでドル円上昇の展開は想定されます。これが最もポジティブなシナリオといえそうですが、ある程度予想内であれば、雇用者数での反応は限定的かもしれません。
対して、6日のFOMC議事要旨では、「経済の減速を招くとしても、政策金利を長期にわたって引き上げ続ける必要がある」、「高いインフレ圧力が続くようであれば、さらに抑制的なスタンスが適切となり得る」との見解が示されました。したがって、インフレ動向や9月の0.75%利上げの可能性も含めた引き締め軌道を探る上では、平均時給や失業率の内容、それを受けた市場の反応を見極めていきたいです。平均時給はについては前年同月比では前回から低下の予想ながら、仮に予想上振れで失業率もパウエル議長が示す4%水準の内側に収まるようであれば、大幅な引き締め路線継続から長期金利上昇・ドル買いで反応する展開は想定されます。また、この場合や雇用者数の下振れとなれば、リセッション懸念拡大に繋がる可能性はありますが、リスク回避のドル買い需要も当然想定されるため、総じてドル円は底堅く推移するとみています。一方で、ユーロドルについてはどのシナリオに転んでも上値圧力となる可能性、パリティ(1.00ドル)割れの展開も含めダウンサイドリスクを考慮しておきたいです。