日米イベントから推察するドル・円の方向感
-前日サマリー-
東京市場のドル円は136.23円でスタート。仲値後からは米国リセッション懸念の強まりなどからドル売りの動きが強まったほか、本邦中尾元財務官の「為替介入の可能性は排除できない」との発言もドル売り・円買いを誘い、ドル円は135円前半まで下落しました。やや戻して欧州市場に入ると、一連の欧州PMIが総じて予想下振れとなったことで欧州通貨・欧州株は売りが先行、ドル円は135円台で粘るも米長期金利の低下などを受けて上値重たく推移しました。NY市場では、米PMIも軒並み予想下振れ、米長期金利も低下幅を拡大するとドル売り・円買いが加速し134.27円まで一時下落しました。その後は切り返す動きも大台回復には一歩及ばず、134.98円で取引を終えました。
-日米イベントから推察するドル・円の方向感-
本日のイベントは、日全国消費者物価指数、英小売売上高、独IFO企業景況感指数、豪ロウRBA総裁発言、米新築住宅販売件数/セントルイス連銀総裁発言が予定されているほか、NZ・スウェーデンが休場、EU首脳会議が2日目最終日となります。
中でも日米のイベント、日全国消費者物価指数と米新築住宅販売件数に注目となります。日5月消費者物価指数の市場コンセンサスは、大幅な加速となった前回4月からは総じて横ばい、食料品や日用品などを中心に値上げ傾向は感じますが、欧米のインフレ事情と比較すると物価全体の上昇圧力は強くないといえます。また、日銀が目指す「賃金上昇を伴う物価の安定的な上昇」にも程遠い状況であることから、仮に予想通りの伸び率であれば、主要国とのインフレ差・金融政策差が鮮明になる形で市場の円売り安心感に拍車をかける可能性もあります。足元では円高、米長期金利は低下傾向ながら、結果を受け円安主導によるドル円上昇などのシナリオも想定しておきたいです。
一方で、連日の米パウエルFRB議長の議会証言で、「目標はソフトランディングだが、達成はますます困難になっている」との発言が伝わり、市場の関心はリセッションへと移っているとの声も聞かれています。また、「住宅市場は、住宅ローン金利の上昇により、現在ある程度減速している」との言及もあり、米国経済の景気後退懸念が燻る中で、ローン金利の上昇や住宅価格高騰などによる住宅市場への影響度合いを見極めたい思惑は強いと見ています。仮に予想下振れとなれば、景気後退入りへの懸念加速からドル売りで反応する展開も考慮しつつ取引に臨みたいです。