地政学リスク深刻化、今週はインフレ面から米金融政策を見極めへ
-前営業日サマリー-
東京市場のドル円は115.45円でスタート。ロシア軍がウクライナにある欧州最大規模の原子力発電所を攻撃したとの報道が伝わるとリスク警戒感の強まりから円買いユーロ売りが優勢に、やや買い戻されるも115円半ばで重たい動きに終始しました。欧州市場でもロシア原発攻撃報道のインパクトが尾を引く形でリスク警戒の動きが拡大、影響が懸念され欧州通貨ユーロ・ポンド売りが進行しました。ユーロドルは2020年5月ぶり安値水準1.09ドル台前半まで大きく下落、一方ドル円については円買い圧力もあって方向感を欠きました。NY市場に入っても流れは変わらず、ロシア・ウクライナ情勢の深刻化を受けたリスクセンチメントの悪化から米株相場がマイナススタートで下げ幅を拡大、米長期金利も低下に転じると円高圧力が急激に強まりました。ドル円は節目を割り込み一気に114.65円付近まで急落、その後は下げ渋りやや戻すも114.84円で取引を終えました。
-地政学リスク深刻化、今週はインフレ面から米金融政策を見極めへ-
本日のイベントは、中貿易収支、独製造業受注が予定されています。また、日本の国会に相当する中国全国人民代表大会(全人代)が5日に開幕、11日までの会期で行われます。
先週末は2月米雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数は67.8万人増と予想を大きく上回ったほか、失業率も改善が示されました。ただ、平均時給・賃金の伸びが鈍化したことで、市場ではインフレ圧力の落ち着きを指摘する声も聞かれています。この点、15日~16日FOMCでは0.25%の利上げが既定路線と言えそうですが、パウエルFRB議長から「インフレ高止まりの場合は0.50%の利上げもあり得る」との発言があった以上は、10日発表の米CPI結果などを見極めつつ、次回以降を含めた利上げ幅0.50%実施の可能性を探っていきたいところです。
一方で、ロシア・ウクライナ情勢は予断を許さない状況が続いており、市場のリスクセンチメントは大きく悪化しています。第3回目の停戦協議に関しては、「ウクライナは次回交渉日を3月7日でロシア側に提示」との現地メディアの報道が伝わっていますが、ロシア側の対応次第で実施は依然不透明です。直近のマーケット最大の焦点ともいえる状況下、ヘッドラインを引き続き注視したいです。