FXレポート

ウクライナ情勢、緊張高まる

-先週サマリー-
 先週のドル円は115.26円でスタート。この日は、今月4日に発表された米雇用統計の強い結果を受けたドル買いの動きが続き、4日ニューヨーク市場の終値115.20円よりも6銭高で始まりました。しかし朝方の日経平均株価の下落によって、リスク回避の円買いの動きが強まり、一時115.15円まで下落しました。その後は軟調に推移していましたが、10日の欧州市場で、日銀が国債の指値オペの実施を発表したことによる円安方向への動きと、同日のニューヨーク市場で、米消費者物価指数(CPI)が7.5%と40年ぶりの高水準に達したと発表されたことによるドル高方向への動きによって、ドル円は116.33円まで上昇し1月4日以来の高値を付けました。ところが、11日のニューヨーク市場でロシアのウクライナへの侵攻に関する報道伝わると円買いが加速、ドル円は115.02円まで急落しました。その後はやや反発し115.38円で取引を終えました。


-ウクライナ情勢、緊張感高まる-
 本日のイベントは、スイス生産者輸入価格、インド消費者物価指数(CPI)、欧ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁発言、米ブラード・セントルイス連銀総裁の発言が予定されています。
 先週は米国の予想を上回るインフレの加速が観測されました。市場ではFRBの3月会合で0.5%の利上げに踏み込むとの期待が高まったことや、米長期金利が2%を超えて推移していたことから、ドル買いの動きが優勢となっていました。しかし、先週末にウクライナ情勢の緊張が高まったことで、市場は一気にリスク回避ムードとなり、円全面高の様相になりました。そして、14日未明に行われた、米バイデン大統領とウクライナ・ゼレンスキー大統領の電話会談にて、両首脳は、ロシアの軍事力増強に対して外交と抑止力を追求することに同意しました。今週もウクライナ情勢の動向に相場が左右される場面があると考えられるため、引き続き注意を払いたいです。
 また、本日はラガルドECB総裁の発言が予定されています。欧州では、脱炭素への取り組みや、昨年秋の再生可能エネルギーによる発電の不調、ウクライナ情勢の緊迫等の影響で、天然ガスの価格が高騰しています。そしてユーロ圏の光熱費が上昇し、さらには足元のインフレ率を1%強押し上げています。市場では年内も天然ガスの価格高騰が継続し、さらにインフレ率を引き上げると考えられています。このことから、ECBによる12月までの預金金利0.5%引き上げが市場では織り込まれ始めています。市場の利上げ期待が高まっているがゆえに、本日の発言で利上げに関する慎重な姿勢が見られた場合は、ユーロに対してネガティブな材料となる可能性があります。さらには、ウクライナ情勢の緊張の高まりによるリスク回避の動きも相まって、ユーロ円のショートに妙味があると言えそうです。

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