主要国での正常化の流れを受けて、円相場の行方は
-先週サマリー-
先週の為替市場はFOMCをはじめ各国中銀の金融政策発表があり、材料に事欠かない一週間となりました。15日にはFOMCのテーパリング加速決定や、2022年以降の利上げ見通し引き上げが示されるなどタカ派色の強い内容が確認できたことで、ドル円は114.26円付近まで一段高となりました。翌16日にはECBがパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)終了を決定、BOEに至っては金利据え置き予想のなか、利上げがサプライズとなり直後は両国ともに自国通貨が買われる展開となりました。ただ週の後半は米中対立懸念から円高圧力が強まる場面が見られ、週末には米株式相場や米長期金利の下落・低下などを受けてリスクオフムードが拡大、その後もドル安の動きが優勢でした。結局ドル円は113.70円で取引を終えました。
-主要国での正常化の流れを受けて、どうなる円相場-
本日のイベントは、米景気先行指数が予定されています。また週末にクリスマスを控え、年末に向けたポジション調整的な値動きも強まっていくと想定されます。
先週、各国金融政策ウィークでの主要国の発表、スタンスを整理すると、米FRBと欧ECBが金融緩和縮小に向けた予告を示している点がポイントとなります。FRBはテーパリングの加速及び、来年3月には買い入れを終了するとされ、2022年に3回の利上げが見込まれています。ECBは利上げは2023年以降との見方が優勢ですが、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の来年3月終了を決定しました。オミクロン株の登場で目先不透明感は拡大したものの、新型コロナ収束の手前で緩和縮小に向けた足場固めが行われています。
他方、日銀の金融政策については、先週末の金融政策決定会合で引き続き現状維持を決定、新型コロナ対応の特別プログラムを一部終了、正常化させる姿勢も見られましたが、欧米中銀の施策と比べると見劣り感は否めません。そもそも欧米では、高いインフレ率を背景に金融政策正常化へと舵を切っている点から、日本とは事情が異なるといえますが、外部要因の変化が円相場への逆風となっていくと想定されます。ドル高が波及し新興国をはじめ各国で金利水準が上がることで、日本との金利差が拡大、結果として投機筋などによる円キャリートレードを促す要因となります。これによって、中長期では更に円安が加速していく可能性もあるため、来年以降に向けて円相場の動向にも注目していきたいです。