年内最後のFOMCに要注目
-前日サマリー-
東京市場のドル円は113.54円でスタート、総じて明日の米FOMCが意識された様子見ムードの強い展開となりました。東京午後に岸田首相が自社株買いのガイドラインについて言及すると、警戒感から日経平均株価が急落、為替も一時リスクオフで円高に振れました。欧州市場では、序盤からダウ先物や時間外の米10年債利回りの上昇などを手掛かりにドル円は113.75円まで上値を伸ばし、クロス円も堅調に推移しました。ただ、ダウ先物などが下げに転じるとドル円は失速、引き続き欧州通貨が全般買われた影響もあってドル安が進むと113.40円台まで押し戻されました。NY市場に入ると、米生産者物価指数(PPI)が発表され、前月比/前年同月比で予想を上回る大幅な伸びとなりました。この強い結果もあってドル買い戻しが優勢となると、ドル円は113.70円台まで再び持ち直す動きに、その後は様子見ムードの強まりから膠着し、113.74円で取引を終えました。
-年内の最後のFOMCに要注目-
本日のイベントは、中鉱工業生産/小売売上高、英消費者物価指数、加消費者物価指数/マックレムBOC総裁発言、米小売売上高/NY連銀製造業景気指数、そしてFOMC政策金利・声明発表及びパウエルFRB議長会見が予定されています。
いよいよ年内最後のFOMCを迎えます。特にテーパリング加速の行方とFOMCメンバーのFF金利見通し(ドットチャート)の内容が注目ポイントとなります。FRBは前回11月FOMCにて資産買入の段階的縮小開始を決定、減額幅を毎月150億ドルとする方針を示しましたが、足元ではインフレ高進などを背景にパウエル議長がタカ派スタンスに変化を遂げ、テーパリング加速の検討を示唆しています。これに伴い、公表される金利見通しでも利上げ開始時期の前倒しや利上げペース加速が示される可能性が指摘されるなど、タカ派な内容への期待が渦巻いているといえそうです。
実際のところ市場では、資産買入の減額幅を毎月300億ドルに増やし、テーパリング完了を当初の2022年6月から同年3月に変更する可能性が高いとの見方が観測され、利上げ開始時期の予想も2022年半ばに前倒しされるなどある程度織り込まれている印象です。期待値が高い分、ハト派的な軌道修正があれば反応も大きそうですが、このシナリオを大きく外れなければドル円は底堅さを維持するとみています。また、パウエル議長の発言などからよりタカ派色を強める雰囲気が掴めれば、改めてドル買いに弾みが出る可能性も十分にありそうです。年末から年明け以降の相場を見極める上でも重要な局面となるだけに、同イベントに要注目です。