市場はリスクオフへ傾倒、パウエル議長からのヒントはあるか
-前日サマリー-
東京市場では先週末、ミシガン大消費者信頼感指数の圧倒的な低水準を受けたドル売り優勢の展開が継続となりました。ドル円は週明け反発の動きも期待されましたが、日経平均株価が一時500円超下落と軟調に推移した他、午前発表の中)小売売上高・鉱工業生産が予測を大幅に下回る結果となったことで世界経済停滞との見方が台頭、リスクオフの円買いへと傾きました。結果、クロス円全般で円高進行となる中、ドル円も一時109.33円まで下落と軟調、ただ市場ではドル売りよりも円高圧力がドルを圧迫するといった展開でした。欧州時間でもリスク警戒感の広がりは止まらずドル円、クロス円ともに円全面高の流れを受けて上値の重い展開となりました。欧州株、ダウ先物相場の軟調推移と併せてアフガニスタン情勢を受けた地政学リスク回避の動きも円買いを誘いました。その後は米10年債利回りが一時プラス圏に浮上したことなどを支えに持ち直す動きも見られましたが、NY市場でのNY連銀製造業景気指数のさえない結果やダウ平均の下落が嫌気されると再び円買いが加速、ドル円は109.11円と日通し安値を付けました。売り一巡後は、ダウ平均やS&P500が史上最高値を更新するなどして相場を下支え、ドル円は109.24円で取引を終え続落となりました。
-市場はリスクオフへ傾倒、パウエル議長からのヒントはあるか-
本日のイベントは、豪RBA議事録公表、英失業率、欧第2四半期GDP(確報値)、米小売売上高、鉱工業生産、米パウエルFRB議長発言が予定されています。
主要国の重要指標が控えていますが、米指標及びパウエルFRB議長発言には特に注目が集まります。先週発表のミシガン大消費者信頼感指数などの指標結果を受けて、市場では米景気回復に限りがみられるといった懸念が再浮上しています。加えて、昨日発表の中国小売売上高、鉱工業生産が前月比で鈍化かつ市場予測から下振れしたことで、中国景気の不透明感や世界的な景気停滞の見方をより強いものとしています。7月米小売売上高については、除自動車含め前月から鈍化の予測となっていますが、リスクオフ姿勢が顕著なだけに予測より悪化となれば、ドル円の上値を重たくする展開も考えられそうです。
一方で、市場では今月下旬ジャクソンホールでの年次経済シンポジウムがテーパリングの輪郭を示す場になると期待しながら、直近の米指標のネガティブサプライズやドル安優勢の展開はFRBの金融政策正常化の動きを後退させるような状況では無いとの声も聞かれます。となればドル円の下値拡大の動きにもある程度目途がつくといえそうですが、目先の方向感を探る意味ではパウエル議長からそれらのヒントが示される展開に期待したいです。また、様々な要因からリスクオフ相場へと傾く中で、アフガニスタン情勢をめぐる地政学リスクは当面意識されそうなだけに、関連のヘッドラインに注視して取引に臨みたいです。