引き続きインフレ情勢に注視
-前日サマリー-
11日のNY市場では米CPI発表後からドル売りの展開となっていましたが、東京市場でもその流れは変わらず、ドル円は110.40円付近でのもみ合いとなりました。お盆休暇中の本邦企業も多いことから、東京時間での動意は連日乏しく、方向感を欠いた狭いレンジ相場に終始しました。途中、FOMCメンバーを務める米サンフランシスコ連銀総裁「早ければ今年中にテーパリングを開始する可能性」とのインタビューも伝わりましたが、特段材料視されませんでした。欧州時間から、序盤に上値を試すなどドル円は下げ止まったものの、前日に下げた安値圏を脱するまでの勢いは見られませんでした。一方で、ロンドン朝方には注目の英GDPが発表され、6月GDPは前月比で予想上振れの1.0%上昇の結果となりました。ただ、同時刻に発表された6月鉱工業生産が予想を下回ったことなどが起因して指標には反応しづらかった印象です。NY市場では、21:30発表の米生産者物価指数が市場予測を上回ったことが伝わると米長期金利の上昇とともにドル買いが先行、ドル円は一時110.54円と日通し高値を更新しました。その後は戻り売りなどに押されて東京時間に付けた日通し安値に面合わせした後、110.42円で取引を終えました。
-引き続きインフレ情勢に注視-
本日のイベントは、NZ製造業PMI、米ミシガン大消費者信頼感指数(速報値)、露4-6月期実質GDPが予定されています。
今週は7月米雇用統計を受けたドル全面高の様相から、11日の米CPI通過後にはドル安へと風向きが変わってきており、引き続き米指標の内容には注目となります。前回、7月ミシガン大消費者信頼感指数は、市場の前月比上昇の予測に反して低下、今年2月以来5か月ぶりの低水準となりました。今回予測も前回確報値と同値の81.2、低水準維持が見込まれています。前回は物価上昇への懸念が経済回復における前向きな見方を抑制した格好であり、指標の調査部門からは「そう遠くない将来にインフレの嵐が吹き荒れる可能性が高いことを示す証拠が増えている」との指摘も出ています。対して11日の米CPIは前月比0.5%で6月の0.9%から鈍化、コア指数の前月比は0.3%で6月の0.9%から鈍化して市場予測をも下回る結果でした。これにより高インフレが一時的なものであるというFRBの見解が裏付けてはいますが、市場では引き続きインフレ情勢からFRBの出口戦略の動向につながるヒントを探ると考えられることから、指標結果と市場の受け止め方を見極めたいところです。