FOMCでテーパリング議論がスタートするか注目
-前週サマリー-
本日のドル円は110円のサポートラインが意識された底堅い値動きでした。東京市場では、「5・10日(ごとおび)」に当たり東京仲値決定にかけて円売りドル買いの動きが目立ったことと、豪RBA議事要旨のハト派的な内容から対豪ドルでドル高の動きとなったことが重なり、ドル円は110.15円まで上昇しました。欧州市場では、英失業率(ILO方式)は市場予想と一致した結果となり無難な通過、その後はFOMCを翌日に控えて持ち高調整的な動きとなりましたが、ドル円は110円をサポートラインとして底堅い値動きとなりました。ニューヨーク市場では、5月米小売売上高が前月比ベース-1.3%と市場予想を下回った一方で、5月卸売物価指数は前月比ベース+0.8%と市場予想を上回り、ドル円は110円前半を約10銭の幅で上下する値動き、その後は目立った動きもなく110.04円で取引を終えました。
-FOMCでテーパリング議論がスタートするか注目-
本日のイベントは、豪ロウRBA総裁発言、英消費者物価指数、加消費者物価指数、米FOMC政策金利・声明発表、米パウエルFRB議長発言が予定されています。
今回のFOMCは、テーパリングの議論が開始されるかどうかに市場の注目が集まっています。FRBは新型コロナウイルスによるパンデミックへの対応として、大規模な金融緩和政策を現在でも行っています。代表的な政策として月額1200億ドル規模で債券購入を行う量的緩和があります。今後、経済が正常化する際に現行の大規模な金融緩和を終了させていく必要がありますが、今回のFOMCではこの月額1200億ドル規模の債券購入について、毎月の購入額を減額するテーパリングと呼ばれる政策変更の議論が始まるのではないかと考えられています。背景には、足元の経済指標が米国経済の回復を期待させる水準であること、特に米国の物価が上昇基調であること、また5月までのFOMCメンバーの発言を振り返ると一部でテーパリング議論の開始を連想させる発言が含まれていたことなどがあります。一方で、パウエルFRB議長は前回のFOMC後の会見で「テーパリングについて議論する時期ではない」と発言していたため、パウエルFRB議長は金融緩和継続スタンスと考えられています。もし今回のFOMCでテーパリングに関する議論が開始されれば、米国の金融政策の大きな転換点となります。FOMC声明のなかにテーパリングに関する記述があるかどうか、パウエルFRB議長のテーパリングに対する姿勢に変化があるかどうかについては特に注目して取引に挑みたいです。