G7閉幕。貿易摩擦問題には有効な具体案は提示されず
【本日のトレードポイント】
昨日のドル円は早朝の段階で1月3日に付けた年初来安値を更新して、その後も下落は止まらず一時104.36円と2016年11月以来の安値を更新しました。売り一巡後は、底固い日経平均株価を支えに105.30円台まで買い戻され、劉鶴中国副首相の貿易摩擦の解決を望む見解が報じられると105.80円まで反発しました。その後トランプ米大統領が「中国から通商協議の再開を望む旨の連絡があった」と発言したことで一時105.96円まで上昇したものの、中国外務省がこれを否定すると105.50円台まで失速。NY勢参入後には米10年債利回りが上昇に転じたことで買いが強まり106.37円まで一時上昇しました。その後は動きが一段落し、106.10円台付近で底固く推移しました。
本日は消費者信頼感指数の経済指標が控えております。事前予想は130.0と前回数値より悪いものの、依然米国景気の足元は好調であると判断されており、余程の数値が出ないかぎり相場に与える影響は限定的になると想定しています。昨日でG7サミットが閉幕しました。今回のG7では足元の世界経済について、経済の下振れリスクが増大しているとの認識は共有して、G7各国が金融、財政、構造改革を通じて「機動的かつ万全の政策対応で協調していく」姿勢を打ち出したましたが、合意内容を1枚の宣言文章にまとめただけと具体的な対策案はほとんど出ませんでした。特にリスクの震源とされる貿易摩擦では、多くの首脳が米中貿易摩擦の激化に強い懸念を表明しましたが、トランプ大統領は「自国第一」の貿易政策への批判を一貫して拒否。そもそも欧州諸国は英国のブレグジットに関する問題で一杯なため深追いできる状況ではないため、市場の一番の関心である米中貿易問題に関しては何一つ進展がありませんでした。結局今後も同問題に相場が一喜一憂する展開となりそうで、米国や中国の動向に注意を払う必要があります。