英利下げ観測の動向・小枝氏の日銀審議委員就任に注目
-前営業日サマリー-
ドル円は150.64円でオープン。東京市場では、日経平均が3万8000円台を回復したことも追い風に150.94円まで上昇しましたが、日経平均の上げ幅縮小に連れて伸び悩み、一時150.41円付近まで反落しました。ロンドン市場では、先週末からのドル買いの調整とみられる円買いが継続する流れとなり、150円の大台を割り込むと、149円台中盤まで下押ししました。NY市場では、円買いドル売りの流れが継続、米消費者信頼感指数や米新築住宅販売件数の結果が予想を下回ったことも重しとなり149.54円の日通し安値まで下落した後は149.91円まで戻して取引を終えました。
-英利下げ観測の動向・小枝氏の日銀審議委員就任に注目-
本日のイベントは、豪CPI、英CPI、米耐久財受注、米ムサレム連銀総裁発言が予定されています。
本日は英でCPIと春季財政報告が予定されています。先週の英雇用統計の堅調な結果やBOE会合でのタカ姿勢から利下げ観測は後退、BOE会合以降は市場は6割超で次回5月会合での利下げを織り込み、8月会合までの利下げを確実視しつつ推移しています。本日の英CPIでは、BOE(英中央銀行)が物価動向を見極めるために注視しているサービスインフレは4.9%(前回5.0%)と予想されており、サービスインフレが予想を下回り減速を示した場合には利下げ観測の再燃可能性も考慮しておきたいです。春季財政政策では、リーブス財務相が2025年の経済成長見通しを従来予想の2%から1%に引き下げるといった事前報道も出てきており、市場の今後の利下げ折り込みに影響が生じるかについては確認しておきたいです。
また、本日は日銀で小枝淳子氏の日銀審議委員就任が予定されています。小枝氏は任期満了となる安達委員の後任となりますが、ハト派と目されていた前任の安達審議委員と比して市場からは中立若しくはタカ派的と目されているなか、就任に伴い記者会見が行われた場合には、その発言の内容は確認しておきたいです。その発言内容から日銀政策委員会内でのバランスがタカ派寄りにシフトしたと市場に受けとめられれば、円買いの動機となる可能性も想定しておきたいです。今後、市場は小枝氏の発言についてその政策的な意図を探ろうとすることになります。今回は就任後初回の会見ということもあり踏み込んだ内容とはならないと思われますが、会見を通して窺える市場との対話力についても注目したいです。