黒田日銀総裁 最後のサプライズはあるか
-前営業日サマリー-
ドル円は137.30円でオープン。東京市場では明日の日米重要イベントを控える中でドル買いに対する調整が優勢となり、136円中盤まで下押ししました。ロンドン市場でもドル安円高の展開が続き、前日安値を下回りながら136円近辺まで下値を広げました。NY市場では公表された前週分の米新規失業保険申請件数が想定よりも弱い結果となったことを受けて、一時135.95円と安値を更新したものの、135円台では押し目を拾う動きも見られ、売り一巡後は徐々に下値を切り上げながら136.10円まで買い戻されて取引を終えました。
-黒田日銀総裁 最後のサプライズはあるか-
本日のイベントは、日BOJ政策金利、日黒田日銀総裁会見、英国内総生産(GDP)、カナダ新規雇用者数、カナダ失業率、米雇用統計:(非農業部門雇用者数、製造業雇用者数、失業率、平均時給)が予定されており、とりわけ注目したいのは日銀金融政策決定会合の結果と米雇用統計です。
前回の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比51.7万人増、失業率は3.4%と53年ぶりの低水準となり、極端に好調なものとなりました。そのため、本日公表の同指標の結果がどの程度悪化することになるのかがドル円の方向感を占う上での焦点となりそうです。市場予想は非農業部門雇用者数:20.5万人増と失業率:3.4%、平均時給:4.7%となっていますが、仮に市場予想を超える良好な内容が確認された際には米長期金利の上昇とともにドル高が一層と進むことが想定できそうです。
また、本日は日銀の金融政策決定会合の結果が発表されます。黒田日銀総裁にとっては最後の会合となりますが、退任前に敢えて市場に動意を与えるような決定はせずに、特段の政策変更も行わないのではと思われます。ただ、YCCの再修正に関して四半期ごとに行われれる日銀の債券市場サーベイでは、2月の機能度判断DIがマイナス64と過去最低を更新しました。黒田日銀総裁は昨年12月のYCCの運用見直しの評価にはなお時間を要するとしているものの、市場では一部YCCの再修正を行うのではとの臆測も見られています。黒田日銀総裁にとっての最後のサプライズが起こる可能性に一応の警戒が必要かもしれません。