黒田日銀総裁の早期退任、念のため警戒
-前日サマリー-
ドル円は128.70円でオープン。東京市場では、米雇用統計の発表を控えて128.60円から128.80円のレンジ相場となりました。ロンドン市場では、序盤は対欧州通貨でのドル売りから128.35円まで下落、米雇用統計で非農業部門雇用者数が+51.7万人と市場予想(+18.5万人)を大幅に上回ったことでドル高へ、NY市場で発表されたISM非製造業指数も55.2と市場予想(50.4)を大きく上回ったことで、ドル円は131円まで上昇しました。引けにかけては、じりじりとドルが買われる流れが続き、ドル円は131.19円で取引を終えました。
-黒田日銀総裁の早期退任、念のため警戒-
本日のイベントは、欧小売売上高が予定されており、ニュージーランドは休場となります。
先週末は、米雇用統計とISM非製造業指数が予想を大きく上回ったことでドル円が2.5程円上昇、日足ベースでRSIも50%台を回復するなど、足元のドル円はファンダメンタルズ・テクニカルともに強い地合いと考えられます。
今週は日銀の総裁・副総裁人事の注目度が非常に高い一週間です。日銀人事については、これまでの報道ベースのスケジュールは以下の通りです。
・政府から国会へ人事案の提示:2月10日
・議院運営委員会理事会での所信聴取:2月16-17日(衆議院)、2月20-21日(参議院)
・衆参両院本会議での採決:2-3月中
今週は、とりわけ「人事案の提出」の注目度は高いと考えられます。しかし、可能性は高くないですが、黒田総裁が早期退任を表明するシナリオも考慮したほうがいいかもしれません。10年前、白川総裁は任期満了(当初2013年4月8日)を前にして、2013年2月5日の夕方に早期退任(2013年3月19日へ)する意向を緊急記者会見で表明しました。背景の一つとして、今回と同様、正総裁任期と副総裁2名の任期のずれがあり、その間に日銀金融政策決定会合が開催されるスケジュールだったことが挙げられていました。
正副総裁の任期のずれは、2008年のねじれ国会で日銀総裁決定が遅れたためで、現在までこの影響が続いています。今回は、総裁・副総裁の任期満了は、日付は異なりますが3月と4月の金融政策決定会合の間に迎えます。そのため、黒田総裁が早期退任することによるメリットは薄いですが、もし早期退任が発表される場合は、ドル円でも突発的な値動きが出てくるかもしれません。日銀人事の注目度が特に高い一週間になることを想定しながら、本日も取引に挑みたいです。