米国利上げ減速への思惑が拡大、米四半期GDPでドル地合いは変化するか
-前営業日サマリー-
ドル円は147.92円でオープン。東京市場のドル円は、前日ドル売りの反動から正午ごろに148.41円まで上値を試すも勢いは続かず、欧州入りにかけては軟調に推移しました。欧州市場では米利上げペース減速への観測が広がる中で、米長期金利低下に伴うドル売りからドル円は146円台まで下落しました。一方で、英国のスナク新首相誕生を好感したポンド買いが前日から継続、ドル安も追い風にポンドドルは大きく上昇し、トラス前首相の就任時の水準付近まで戻す展開となりました。また連れてユーロ買いも優勢となり、ユーロドルはおよそ1か月ぶりにパリティ水準を回復しました。NY市場でも流れは変わらず、米長期金利が低下幅を広げると全般ドル売りが先行、ドル円は146.22円まで日通し安値を更新したのち146.34円で取引を終えました。
-米国利上げ減速への思惑が拡大、米四半期GDPでドル地合いに変化はあるか-
本日のイベントは、欧ECB政策金利/ラガルドECB総裁会見、米第3四半期GDP/個人消費/耐久財受注/新規失業保険申請件数が予定されています。
足元のマーケットでは漂っていた米国の利上げ減速への思惑が広がりをみせています。直近弱めの米指標が続く中で米長期金利は節目の4%台を一時下回るなど低下基調、昨日発表されたBOC(カナダ中銀)政策金利が市場予想を下回る利上げ幅に留まったこともこれに寄与したとの声が聞かれました。そして迫る11月FOMCでは0.75%利上げがほぼ織り込み済みながら、その後のペース緩和について議論・アナウンスがある可能性も指摘されています。FRBの政策転換の見方は時期尚早であり、対円では日銀の政策スタンスとの対比から目先の大きなトレンド変化はないと考えていますが、12月FOMCが一旦のターニングポイントとなるシナリオも想定しつつ、ドル円の方向感を左右する米金融政策の動向にアンテナを張っていきたいです。
こういった状況下で本日は米四半期GDPが発表予定となっています。上半期は2期連続のマイナス成長でいわゆる「テクニカル・リセッション」となりましたが、今回第3四半期(7-9月期)は現時点で+2.3%の予想となっています。大幅利上げの継続やインフレ高進などの状況下におけるプラス回帰となれば、FRBの引き締め観測再燃の可能性を含めドル買い戻しに転じる展開も十分に考えられるため、流れの変化に対応できるよう準備しておきたいです。