欧州景気悪化懸念の行方 ~PMIとユーロの推移~
-前日サマリー-
ドル円は138.23円でオープン。東京市場にて、日銀の金融政策決定会合では大規模な金融緩和政策の維持が決定されると一時138.51円まで上昇しました。さらに黒田総裁の緩和政策継続に関する発言を受け、ドル円は138.83円まで上値を伸ばしました。ロンドン市場では、欧州中央銀行(ECB)が0.5%の利上げを決定したことで一時ユーロ高となりました。NY市場では経済指標の悪化などを受けると円高が進み、ドル円は137.35円で取引を終えました。
-欧州の景気悪化懸念の行方 ~PMIとユーロの推移~-
本日は、日消費者物価指数(CPI)、英小売売上高、仏・独・欧・英・米購買担当者景気指数(PMI)、カナダ小売売上高の発表が予定されています。
なかでもスタグフレーション懸念が欧州では高まっていることからPMIに注目です。欧州向けのガスパイプラインは点検期間終了後に供給停止が懸念されていましたが、ロシアの天然ガスはドイツへと供給が再開されました。しかし以前の水準まではガスが供給されておらず、今後の供給についても不確実性が残ると指摘されていることから景気悪化への懸念は拭えません。さらに7月のZEW景況感調査は市場予想を大きく下回る結果となり、ラガルド総裁は経済活動の減速について発言していることからも、PMIの結果はネガティブサプライズとなりユーロ売りがさらに加速する可能性を孕んでいます。
一方でECBは、2000年以来となる0.5%の大幅利上げに踏み切り、ユーロ圏はマイナス金利を脱しました。さらに今後の会合では金利のさらなる正常化が適切であると述べたことで市場では9月のECBにおいても0.5%の追加利上げが観測されています。大幅な追加利上げの観測はユーロ買いの材料となりそうですが、それによる経済への影響や高止まりするインフレ、景気悪化懸念を考慮すると上値が重い展開が続くかもしれません。いずれにせよ欧州各国のPMIを受けてユーロは動意づくことが考えられるため、本日もヘッドラインに注意して取引に挑みたいです。