参院選は自民大勝、日銀総裁人事と金融緩和の終わり
-前日サマリー-
東京市場のドル円は136.01円でスタート、正午ごろに日本の金融緩和終了が連想される形で円が買われ、ドル円は135.34円まで一時急落しました。ロンドン市場では、日本の政局の先行き情勢の不透明感と欧州のリセッションリスクが意識されてリスクオフムードからドルが買われる動き、ユーロドルは1.016ドルから1.0073ドルへ急落、ユーロドルパリティ(1.00)へ近づきました。ニューヨーク市場では、米雇用統・非農業部門雇用者数が+37.2万人と事前予想(+26.8万人)を上回ったことが好感されドル円は135.80円から136.56円へ大幅上昇、しかし引けにかけてはここまで買われてきたドルが売られる形で、ドル円は136.11円まで反落して取引を終えました。
-参院選は自民大勝、日銀総裁人事と金融緩和の終わり-
本日のイベントは、週末の日本参院選明け、黒田日銀総裁発言、ベイリーBOE総裁発言が予定されています。
参院選は、自民党の大勝となりました。11日午前5時までに判明した参院選の情勢としては、改選議席(125)の過半数を自民党が獲得して議席数を伸ばし、選挙後の参議院議席数は与党(自民党+公明党)過半数超え、改憲勢力(自民党+公明党+日本維新の会+国民民主党)3分の2超えという結果でした。参院選を通過したことで、次回の国政選挙は衆議院が解散されない限り最長で3年後となり、選挙のスケジュールだけで考えると安定した政局が期待されます。為替市場では、リスクオンの円売りの流れがしばらく続くかもしれません。しかし、円高リスクが顕在化したことには注意が必要です。
日銀の黒田総裁は来年4月で任期満了となります。アベノミクスから始まった大規模な金融緩和を就任時から進めてきた黒田日銀総裁の任期満了が、日本が続けてきた金融緩和政策の転換点になる可能性があります。岸田首相は、今年3月の日銀政策委員会委員の選出で、安倍元首相が重視したリフレ派(緩やかなインフレの継続によって経済の安定成長を図るという考え)ではないメンバーを選びました。参院選で大勝した岸田首相が見据える長期政権の中で行われる金融政策が、リフレ派ではない日銀総裁の下で行われるのではないか、ひいてはアベノミクスから続いてきた金融緩和が終わるのではないか、市場ではこのような見方もあります。苦難の中で通過した日本の政治イベントの先に、今年の急激な円安がひと段落することになるのか考えながら、本日も取引に挑みたいです。