黒田日銀総裁の発言に注目
-前週サマリー-
東京市場のドル円は、123.94円でスタート。序盤から買いが先行し、節目として意識されていた124円を難なく突破、一時124.23円と3月29日以来の高値を付けました。しかし時間外の米10年債利回りが低下して始まったことや、さらに本邦輸出企業がドル売りを持ち込んだとの声も聞かれ、123.76円付近まで下落する場面も見られました。ロンドン時間スタートの段階では、124.04円付近での推移で、124円台はキープしたものの方向感に欠ける動きを見せ、124.10円前後までの上昇から失速しました。ニューヨーク市場のスタートする時点でドル円は、124.39円とロンドン時間と比べやや高水準。また、時間外の米10年債利回りが2019年3月以来となる2.71%台まで上昇したことをながめ、一時124.43円と3月28日以来の高値を更新しました。その後は小幅な動きが目立ち最終的に124.30円で取引を終えました。
-黒田日銀総裁の発言に注目-
本日の主なイベントは、黒田東彦日銀総裁の発言、中3月消費者物価指数、英GDPが予定されています。その中でも黒田日銀総裁の発言がドル円相場にとって注目材料となります。3月28日にドル円が125円台をつけた後、日銀から為替相場に関する言及が増えています。政府側からは神田真人財務官が3月29日、最近の円安の進行を含め、為替市場の動向や日本経済への影響をしっかりと緊張感を持って注視すると述べたほか、黒田東彦総裁が岸田文雄首相と会談した際は、為替は経済情勢を反映し安定的に推移することが望ましい旨を首相に伝えたとされ、直近で発生した円安に対し慎重な姿勢であることが伺えます。
しかしながら、国が為替介入のドル円売りを行う場合、米国の一定の理解を得られるかがポイントになりますが、米国が現在インフレに直面しているため同手法で介入を行う場合あまり現実的とは言えず、日本国内経済への影響がよほど深刻なものとならない限り、為替介入や金融緩和修正までは踏み込まないとの見方もあるようです。円安に対しけん制する発言こそあるものの、実質動き出すかは定かではないといったところです。本日の発言で黒田日銀総裁が円安対策に対し消極的な姿勢を見せることがあれば、市場から日本円の売り材料と判断され、さらなる円安を招くことも考えられます。