欧州通貨の上昇が目立つ
【本日のトレードポイント】
-ドル円はボックス相場継続-
昨日は東京市場が休場ということもあり、アジア時間のドル円は107.15円を挟んでの小動きとなりました。ロンドン時間に対欧州通貨でドル安が進行したことを受けて、ドル円は下値を広げ、一時106.71円まで下落しました。しかし短期サポート付近で反発する形となり、クローズにかけてはやや値を戻す動きとなりました。一方のユーロドルは欧州復興基金の創設による景気回復期待が先行する形でユーロ買い優勢となり、一時2018年10月以来の高値1.1626ドルまで上昇しました。
-ドル安・欧州通貨高ムード-
本日は英小売売上高や仏・独・英製造業PMI(速報値)、米新築住宅販売件数に注目が集まります。欧州各国で発表される購買担当者景気指数(PMI)は製造業・非製造業ともに前月に引き続き堅調な回復が見込まれており、好調な結果となれば欧州通貨の上昇に弾みがつきそうです。先週からの流れを引き継ぐ形でユーロはもちろんのこと、マイナー欧州通貨であるポーランドズロチやスウェーデンクローナも堅調に推移しており、各通貨に対して弱い米ドルとは対照的です。足元では米中対立が強まるなどリスク要因もくすぶっていますが、EU復興基金の合意によるイベント通過やいわゆる「リスクオンのドル売り」がうまくかみ合う形で欧州通貨の上昇圧力となっており、ユーロドルは2018年9月以来の1.1800ドル近辺も十分射程圏内と言えるでしょう。
-米中対立の先には-
米政権は中国企業の従業員のビザ制限やテキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を求めるなど、対中姿勢を硬化させています。これを受けて中国政府も対抗措置を示唆しており、両国の対立は深まるばかりです。トランプ政権が対中姿勢を硬化させている背景には、トランプ大統領の支持率低下がありそうです。米大統領選に向けた最新の世論調査では、バイデン氏支持が46%、トランプ大統領が38%となっており、バイデン氏のリードが続いています。他の世論調査でもトランプ大統領の支持率はバイデン氏を下回っており、対中強硬姿勢をとることで自身の支持率回復を狙いたい思惑が透けて見えます。今のところドル安基調が続いていますが、大統領選に向けて米政権が一歩踏み込んだ制裁措置をとる場合には、急激な巻き戻しが起こりやすい点に注意したいです。