日米金融政策の対照性に注視
昨日のドル円は第3四半期GDPやFOMC政策金利・声明の発表など多くの重要イベントがあったことから、値動きの乏しかった相場をわずかに活気づかせました。
昨日FOMCは3回連続となる利下げを決定しました。利下げ幅は0.25%とコンセンサス通りで既に織込み済だったことから相場にはほぼ影響を与えませんでした。しかし、同時刻に公表された声明文で、景気拡大維持の為に「適切に行動」という文言が「適切に見極めていく」に変更されており、利下げは一旦のところ打ち止めと受け止められました。併せて行われたパウエルFRB議長の発言においても現状の政策ポリシーが適切であるとして、直接的にではないですが、利下げを含む緩和サイクルに踏み切らない旨のメッセージを発信しました。その一方で、利上げに対しては「将来、利上げが適切となる時期が来る」としながらも「その前に著しいインフレ率の上昇が必要」としており、利上げを喫緊のタスクとして捉えていないようです。つまり、当分は従来のデータインディペンデンスとした中立スタンスを採用すると考えられます。
本日も昨日に引き続き多数の重要イベントが予定されています。指標などのイベントのみならず昨日のFOMCを受けたトランプ米大統領のツイートも予想され、やや気を抜けない一日となりそうです。
多数のイベントが予定されている中、特に注目したいのは日銀金融政策決定会合「経済・物価情勢の展望」の公表とそれに併せて行われる黒田日銀総裁の定例記者会見です。
金融政策決定会合では利下げを含む追加緩和には踏み切らないとの予想が市場コンセンサスとなっています。ただ、フォワードガイダンスの修正の検討をしているとの報道もあり、当会合では珍しく相場への影響も出る可能性があります。
フォワードガイダンスの修正は追加緩和の可能性を盛り込む模様で、緩和余地の少ないだけにその表現やトリガーとなる条件等に注目が集まります。他方、マーケットが日米金融政策の対照性に注目すれば、円安・ドル高へと振れる可能性もあります。
まとめると、展望レポート・黒田総裁会見ともに欧米各国との今後の政策ポリシーの差に注目しつつ読み解くことがポイントとなると思われます。