英国財政運営への不信感強まる中 ポンド円はリスクオフに警戒
-前営業日サマリー‐
ドル円は、154.55円でオープン。東京市場では、日経平均の大幅安を受けた下押しを154.31円にとどめ、米10年債利回りが前日比プラス圏に浮上した動きも支えに154.70円付近まで切り返し、底堅く推移しました。ロンドン市場では、米10年債利回りが4.06%台まで低下したことや、ダウ先物や日経平均先物の大幅下落を受けて、153.61円まで下値を広げました。チャベスデリマー米労働長官より、「米労働統計局は、10月のCPIのデータを完全に収集出来ていない」「10月CPIを発表できるかわからない」「9月雇用統計は来週発表できると期待」との発言も伝わっています。NY市場では、ナスダックがプラス圏を回復するなど米株が持ち直し154.74円付近まで上昇。その後は伸び悩む展開となり、154.54円で取引を終えました。
-英国財政運営への不信感強まる中 ポンド円はリスクオフに警戒-
本日のイベントは、日第3四半期GDP(速報値)、加消費者物価指数、米ウィリアムズNY連銀総裁の発言が予定されています。
予算責任局(OBR)が財政見通しをやや上方修正し、「所得税率は上げない」という選挙公約を守れると判断したため、英リーブス財務相は、11月26日発表の予算案に入れるはずだった「所得税の最高税率引き上げ」を直前で取り下げました。ただ、市場は好感せず、「いざ景気が悪化したときに、増税カードが使いにくくなった」と受け止めました。このため将来の財政リスクを警戒した英国債売りが優勢となり、10年債利回りは一時4.57%(前日比+13bp)まで急上昇。ポンドは対ドルで小幅安、株価指数FTSE100も一時2%安と、4月以来の下げとなりました。本来なら金利上昇はポンド高要因ですが、今回は「財政不安による金利高」のためポンド買いにはつながっていません。英国の財政運営への信認低下が、リスクオフ時のポンド売り・円買いを強めやすい点がポイントです。今後、予算案の中身や与党内の対立を巡るニュース次第で金利もポンドも振れやすく、ポジションはやや控えめにしておくとよい局面といえそうです。