熊本地震が示す災害時相場 円高神話は今も通用するのか
-前営業日サマリー-
ドル円は163.70円でオープン。東京市場では半導体を中心に株安が拡大。アジア株も総じて軟調となり、韓国総合株価指数が10%を超える下落となったほか、日経平均もキオクシア株の急落などが重しとなり4%安となりました。為替市場ではリスク回避の円買いがドル円の上値を抑え、高値更新には至りませんでした。ロンドン市場ではFOMCを控えた持ち高調整を背景にドルがじり高となる一方、熊本地震を受けた円売りの動きも限定的で、一方向への勢いは続きませんでした。NY市場では、中東情勢に関連するヘッドラインで上下動。ネタニヤフ氏とトランプ氏の会談開始報道で楽観論が先行し、ドル安となったのち、イラン側の発言で巻き戻し。ドル円は163.83円で取引を終えました。
-熊本地震が示す災害時相場 円高神話は今も通用するのか-
本日のイベントは、豪消費者物価指数、米FOMC政策金利 / ウォーシュFRB議長発言が予定されています。
28日午後4時27分ごろ、熊本県で最大震度7を観測する地震が発生。気象庁によると、震源地は熊本県熊本地方で、地震の規模はマグニチュード7.1と推定されています。国内で震度7を観測したのは2024年の能登半島地震以来であり、気象庁も当面は余震への警戒を呼び掛けています。地震大国である日本では大規模災害が避けられないリスクであるため、今回は首都直下型地震など金融システムにも影響を及ぼす災害が発生した場合のマーケット反応について整理してみます。
まず考えられるのは株式市場の急落。特に銀行株や保険株は売られやすく、指数寄与度の高さから日経平均にも大きな影響を与える可能性があります。一方、債券市場では安全資産需要から国債買いが入りやすいと考えられます。ただ、財政悪化懸念が意識されれば超長期債は売られやすく、イールドカーブが通常とは異なる動きとなる可能性はあるでしょう。
難しいのは為替市場です。参考となるのは1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災で、当時は復興資金確保のため日本企業が海外資産を円転するとの思惑から円高が進みました。実際には円転フローが確認される前に、市場の思惑が先行した格好です。
もう一つ想定しておきたいのは、首都直下型地震などによって金融システムにも重大な混乱が生じるケースです。この場合、海外投資家は日本資産を保有するリスクを強く意識し、円売り・株売り・債券売りの「トリプル安」となるシナリオが考えられます。災害時の円高神話が必ずしも当てはまるとは限らず、金融システムの健全性が為替市場の方向性を左右する重要なファクターになり得る点は押さえておきたいところです。
もちろん、日銀も手をこまねいて見ているわけではありません。臨時オペや必要に応じた市場安定策を講じるほか、状況次第では海外中銀との協調対応が取られる可能性もあるでしょう。いつか起こり得る大規模災害に備え、マーケットの初動反応をあらかじめシミュレーションしておくことは、決して無駄にはならないはずです。