FXレポート

中東情勢の緊迫化で再燃するインフレ懸念 ドル相場は地政学リスクを注視

-前営業日サマリー-
 ドル円は162.18円でオープン。東京市場では、米CPIが市場予想を下回ったことでドル売りが入りやすい地合いとなるなか、ゴトー日の仲値に向けたフローも重なり、一時ドル売りが強まりました。ただ、その動きは長続きせず、その後は買い戻しが優勢となりました。ロンドン市場では、米PPIの発表を控えたポジション調整に加え、中東情勢の緊迫化を背景とした原油価格の上昇がドル買いを後押しし、ドル円は162円台半ばまで上昇。NY市場では、米PPIが予想を下回ったことを受けて一時ドル売りが進んだものの、中東リスクの高まりによるインフレ懸念が意識され、下値は限定的となりました。ドル円は再び162円台を回復し、162.19円で取引を終えました。

-中東情勢の緊迫化で再燃するインフレ懸念 ドル相場は地政学リスクを注視-
 本日のイベントは、米新規失業保険申請件数、米小売売上高が予定されています。
 米国とイランの覚書署名から約30日が経過したものの、両国の対立は再び激化しています。米中央軍は5日連続でイランへの攻撃を実施し、イラン側もこれに応酬。攻撃の応酬は日を追うごとに激しさを増している状況です。
 焦点となっているホルムズ海峡を巡っても、双方の認識には大きな隔たりがあります。米国はホルムズ海峡における自由航行を主張する一方、イランは指定した航路のみ通航を認めるとしたうえで、海峡の支配権は自国にあるとの立場を示しています。この認識の違いには、覚書の内容が影響しているようで、覚書第5項では「ホルムズ海峡で60日間の無料通航を認めるが、その通航はイランが手配する」と定められており、米国の関与については明記されていません。イラン側はこれを根拠に、自国の管理下にない船舶への攻撃を正当化する姿勢を示しています。
 足元では、トランプ氏も「まもなくイランを打ち負かす」と発言するなど、強硬姿勢を一段と鮮明にしています。一方で、米国では11月に中間選挙を控えています。中東情勢の悪化による原油高はインフレ再燃を通じて政権への逆風となるため、政治的な観点からは、一定の妥協を模索し交渉再開へ動く余地も残されているでしょう。
 もっとも、現時点では双方の主張に歩み寄りは見られず、覚書締結前と同様の緊張状態が続いています。米CPIや米PPIは市場予想を下回り、足元ではドル安材料として受け止められましたが、中東情勢の緊迫化が続けば、エネルギー価格の上昇を通じてインフレ圧力が再び強まることは容易に想像でき、そうなれば、現在の物価鈍化は一時的なものにとどまり、市場の利上げ観測がさらに加速する展開となりそうです。当面は、中東情勢に関するヘッドラインが相場を左右することとなりそうです。

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