FXレポート

原油100ドルを阻む中国 静かな需給変化が次の相場を動かす

-前営業日サマリー-
 ドル円は159.41円でオープン。東京市場では、「高市政権は介入効果を維持する観点から日銀の利上げを支持」「日銀は9月か10月にも金利を引き上げる可能性」との報道が相次ぎ、円買いが先行。一時159円台前半まで下押したものの、その後は米PPIを控えて次第に様子見ムードが強まりました。ロンドン市場でも積極的にポジションを傾ける動きは乏しく、159円台前半を中心とした小動きが継続。NY市場では、サウジアラビアの製油施設への攻撃報道をきっかけに原油が反発すると、米金利も連れて上昇しました。ドル買いが再び優勢となり、ドル円は159.50円で取引を終えました。

-原油100ドルを阻む中国 静かな需給変化が次の相場を動かす-
 本日のイベントは、米小売売上高 / ミシガン大消費者信頼感指数が予定されています。
 米国とイランの紛争が続いているにもかかわらず、原油相場は意外なほど冷静。情勢が長期化すれば150ドルに達するとの見方まで浮上した一方、足元の原油価格は100ドルを下回る81ドル付近。地政学リスクの大きさと、実際の価格形成との間には明確な温度差があります。その温度差を生み出している一因は中国とされています。
 世界最大の原油輸入国である中国は、イラン紛争前まで日量1200万バレル程度を輸入していましたが、5月以降は日量500万バレル程度まで縮小。足元では海外から原油を買い急ぐのではなく、積み上げてきた国内在庫を取り崩すことで需要を賄っています。中東で供給不安が燻る一方、最大の買い手が市場から距離を置いている。この構図が、原油価格の上値を抑える一つの要因になっています。ただ、この均衡もいつまでも続くとは限りません。 
 中国には1年程度の国内消費を賄える在庫があるとされていますが、世界各地で地政学リスクが意識されるなか、エネルギー安全保障の要ともいえる在庫を際限なく取り崩すことは難しいでしょう。いずれ中国が在庫消費から輸入へと軸足を戻す局面が訪れれば、それまで抑え込まれていた需要が再び国際市場に流れ込むことになります。
 中国の買い再開が原油高につながれば、インフレへの警戒が再び強まり、金利、そして為替へと波及します。中東情勢のヘッドラインだけを追うのでは、一歩遅いのかもしれません。油価動向の舵を中国が握る現在の構図そのものが、次なる相場変動の火種になり得そうです。

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