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FX取引において今後の相場を予測する際に用いられる分析手法は大別すると2つに分けられます。一つが、経済活動や資金需給(資金の流れ)の基本的な要因や情報を基に分析を行うファンダメンタルズ分析。そしてもう一つが、チャートやテクニカル指標を用いるテクニカル分析です。一般的にファンダメンタルズ分析が中長期のトレードに適しているのに対し、テクニカル分析は超短期から中長期まで幅広く応用することが可能です。ここではテクニカル分析において主役ともいえるチャート分析の使い方を解説していきます。
FXを取引する際にチャートがなくてはならない理由について詳しく見ていきましょう。
チャートとは価格の動き、つまり値動きを表したグラフのことを指します。FXのみならず株価でも過去の動きをグラフ化したチャートが用いられます。
冒頭にも述べた通り、チャート分析はテクニカル分析の一つで、過去の値動きや価格の推移、またその位置関係から相場の動きを認識・予測します。
チャートが相場分析に活用される理由は、いくつかありますが、代表的なものとしては投資家の群集心理が反映されやすいということが挙げられます。投資家は、個人投資家から機関投資家まで、みんな同じチャートを見て売買の判断を行います。つまり、多くの投資家が似たような価格帯を売買のポイントとして意識しているため、時に大量の買い注文または売り注文が集中し、相場が大きく変動することもあります。
チャートには主にローソク足、バーチャート、ラインチャートの3種類があり、一般的に使われるのはローソク足チャートです。バーチャートやラインチャートは欧米で使用者が多いのに対し、ローソク足は日本発祥のチャートで世界中に使用者がいます。
ラインチャートは終値をつなげてできた折れ線グラフで、長期の流れを一瞬で理解するのに適しており、複数の銘柄を比較する際などに使用します。
ローソク足については以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
次に、チャートの基本的な見方について詳しく見ていきましょう。
チャートを開くと、縦軸と横軸に数字が表示されていることがわかります。縦軸は価格を表し、横軸は時間を表しています。この2軸によって、時間の経過とともに価格がどのように変動したかを一目で把握することができるのです。
チャートには分足(ふんあし)、時間足(じかんあし)・60分足、日足(ひあし)など、さまざまな時間軸があります。チャートの横軸を短い期間にして当日や2,3日の値動きを見たい場合には、「分足」や「5分足」を使うと良いでしょう。時間軸を短く設定することで、直近の値動きがわかります。一方、チャートの横軸を長い期間にする場合には、「日足」「週足」「月足」「年足」を使うと良いでしょう。「日足」はローソク足1本で一日の動きを描き、週足は1週間の動きを描きます。時間軸を長くすれば長くするだけ、過去から今日までの値動きの遷移がわかります。
初心者の方におすすめの見方は、長期間の値動きを確認してから、徐々に短期的な値動きを見ていき、最後に自分の取引する時間軸を確認する方法です。そうすることにより、相場認識を正確に行うことができます。
チャートを見ていると、特定の決まった価格(押し目、戻り)で何度も反発をしたり、一定の方向(上向き、下向き)へチャートが動いていたりするケースが多々あります。このパターンをいち早く認識することで売買シグナルとして活用することができるので、ぜひおさえておきましょう。
・トレンドライン
トレンドラインとはチャートに引く補助線のことを指します。
相場には、一方の方向(上昇または下落)へ動き続けるトレンド相場と、特定の値幅で推移し続けるレンジ相場があるとされています。トレンドラインは、チャート上の価格が、これらのどの相場にあてはまるのかを可視化するために引くラインです。
・下値支持線(サポートライン)
下値支持線とは、安値と安値をつなぎ合わせた線のことを指します。その名の通り、下値の支持(サポート)として機能するかどうか確認するために用いられます。下値支持線を割り込んだ場合には、下落局面への転換として注意が必要になります。
・上値抵抗線(レジスタンス)
上値抵抗線とは、高値と高値をつなぎ合わせた線のことを指します。その名の通り、上値の抵抗(レジスタンス)として天井の役割で機能するかどうか確認するために用いられます。上値抵抗線を上抜けた場合には、上昇局面への転換として捉えることができます。
前述の通り、相場には3つのトレンドがあります。ラインを引いてみることで、今の相場がどのトレンドに当てはまるかを正確に認識する必要があります。3つのトレンドは上昇トレンド、下降トレンド、横ばい、です。上昇トレンドと下降トレンドは、まとめてトレンド相場と呼ばれます。対して、横ばいの状態はレンジ相場と呼ばれます。
上昇トレンドは右肩上がりの上昇傾向にある状態、下降トレンドは右肩下がりの下降傾向にある状態、横ばいは一定の値幅を上下に往復している状態です。この横ばいの場合は、どこかのタイミングで上昇もしくは下降トレンドに切り替わるのでタイミングの見極めが肝要です。一般的に相場は、上昇下降トレンド相場が全体の2割、横ばいのレンジ相場が8割と言われています。
一定期間内にどれだけの取引が行われたかを表す取引量。株式などの取引所取引の商品ではこの取引量が取引を行う上で重要なキーとなったりもします。では、FXにおいても取引量を見ながら取引を行うことができるのか解説していきます。
結論から言うとFXのチャートでは出来高(取引量)は確認することはできません。出来高というのは取引量の事を指しており、前述したように一定期間内にどれだけの取引が行われたか(成立したか)を表しています。この出来高が多くなると取引が活発になるとされています。
株式などの株価チャートを見てみると、チャートの下に出来高を示す棒グラフがある場合があります。その期間内にどれだけの取引量があり、その取引がどのような値段の推移を示したか、チャートと取引高を絡めた取引戦略として用いるケースがままあります。しかし、FXでは出来高を確認することができません。これは、為替市場は株式市場と異なり、取引量・取引参加者が多いためその全体像を把握することが難しいからです。また、仕組みの面においても株式取引が取引所取引で取引の全容を把握できるのに対し、FXの為替取引は相対取引で取引の全容を把握できない点にその理由があります。
ではFXで出来高の把握は全くできないかというと、そういう訳でもありません。売買比率等を用いてポジションの傾きや取引参加者の傾きを大まかに確認することが可能でしょう。ただあくまでも当該証券会社・業者内の売買比率である点には留意したいです。
一般的に取引量が多い通貨は米ドルで、米ドルが絡んだドルストレートと呼ばれる通貨ペア群は取引量も非常に多いです。USDJPY(ドル/円)やEURUSD(ユーロ/ドル)、GBPUSD(英ポンド/ドル)などが挙げられます。決済など実需においても需要があるためです。全取引通貨ペアの取引量上位5位を見てみてもEURUSD>USDJPY>GBPUSD>AUDUSD(豪ドル/ドル)>USDCAD(ドル/カナダドル)とドルストレートで占められていることがわかります。
チャートにテクニカル指標と呼ばれるものを組合せると、さらに相場予測の精度が高まります。テクニカル指標とは何か、どのようなものがあるのか説明します。
テクニカル指標とは、テクニカル分析を行う際にチャートの中に組合せて使用する指標のことを指します。チャート分析だけでは見えてこない相場の買われすぎや売られすぎといった過熱感、売買のタイミングなどを簡単に確認することができます。テクニカル指標は有名なものから自分で計算・開発したものまで星の数ほどあり、自分に合ったテクニカル指標を見つけることも重要です。
テクニカル指標にはトレンドの方向をわかりやすく示すトレンド系と、買われすぎ・売られすぎを判断するオシレーター系があります。これらは単体で使う場合もあれば組合せて使うこともあります。
移動平均線は任意の期間(5日、25日、75日、200日が使用されることが多い)の終値の平均値をつないだ線のことを指します。テクニカル指標の中でも最も有名で、利用するトレーダーも多いです。移動平均線を用いた取引手法は様々なものがあり、移動平均線に関する情報も数多くあふれています。はじめてテクニカル指標に触れる方にはおすすめの指標です。
移動平均線は、その向きに注目し、向きが変わったポイントをトレンドの変化、つまり売買のシグナルとして利用することができます。また、線の角度に注目することでそのトレンドがどれぐらい強い勢いかということも併せて確認できます。そのほかにも複数の移動平均線を用いた「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」などのサインがあります。
ボリンジャーバンドは一定期間の価格から相場の振れ幅(ボラティリティ)を測定し、価格の変動範囲を統計的に導き出すテクニカル指標です。ボリンジャーバンドでは標準偏差と呼ばれる統計的な手法を用いて、過去の値動きから将来の値動きを予測することができます。シンプルで、非常に人気の高いテクニカル指標です。
RSIは相対力指数の英略で、一定期間の値動きから上昇もしくは下降の勢いがどれぐらい強いかをチェックできるテクニカル指標です。急騰急落を定量的に評価することができる指標でもあります。オシレーター系のテクニカル指標の中で最も有名なため、おさえておきたい指標です。
RSIの基本的な使い方は、RSIの数値が70を超えた高値圏のタイミング(買われすぎ)で逆張りの売りエントリー。30を下回った安値圏のタイミング(売られすぎ)で逆張りの買いのエントリーです。この基準となる数値は相場の状況や取引手法によって異なるため、検証の上、最適な数値を使用しましょう。
MACDは移動平均を応用した相場の買いと売りの周期とタイミングを視覚的に捉えることのできるテクニカル指標です。比較的精度が高いとされ、愛用者も多いです。特にトレンド相場でその効力を発揮します。MACDの使い方は移動平均線同様に3本のラインの上抜け、下抜け、ゼロラインとよばれる基準ラインとの交差、チャートとのダイバージェンス(逆行)などがあります。
>MACDについてもっと詳しく知る
短期から長期まで幅広い時間軸で、値幅から時間まで様々な要素の分析を行うことができるテクニカル分析。そのテクニカル分析の第一歩となるのがチャートの見方です。チャートが読めなければテクニカル分析を行うことができません。チャートの基本的な見方をマスターして、様々なテクニカル指標と組合せた取引手法を使えるようになりましょう。
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