恐怖指数(VIX指数)上昇!リスク回避ムード高まる。
昨日のドル円だが、東京市場序盤はアフリカ・中東情勢の悪化を受けたNYダウの大幅安や質への逃避から米国債が買われたことによる利回りの低下し序盤から上値の重い展開となり82.70円付近へと下落した。その後も、山口日銀副総裁が「日本国債がデフォルトに見舞われることはない」と発言したことに加えて、日経平均が下げ幅を拡大したことや、地政学的リスクを背景とした円買い主導の展開となり一時82.55円付近へと続落した。欧州時間は米長期金利の低下を受け円買い圧力は強かったものの、時間外ダウ先物の上昇や「海外ヘッジファンドの買いも入った」との声を受け、日通し高値の82.89円まで上値を拡大した。しかし、NY時間では中古住宅販売件数が発表され、予想522万件のなか536万件と強気な結果となったものの、NYダウの反応は限定的でリスク回避の流れに変化はなく、逆に米長期金利の低下を受けジリジリと下値を拡大すると82.50円に観測されていたストップロスを巻き込み82.285円と日通し安値を付けた。引けにかけて、米5年債入札がやや不調な結果となったとの見方が広がったことで米長期金利が上昇に転じたことが意識されたほか、プロッサー・米フィラデルフィア連銀総裁が「景気回復すれば、QE2の早期解除を排除しない」と述べたと伝わり、米金融緩和策解除の可能性が高まったことを受け反発し82.491円で取引を終えた。
ユーロ円は、メルシュ・ルクセンブルク中銀総裁や、ウェリンク・オランダ中銀総裁のタカ派的な発言を受けたECBの早期利上げ観測を背景に、買いが強まったNY市場の流れを引き継ぐなか東京市場序盤は113.55円付近まで上昇。その後、日経平均が先物主導で下げ幅を拡大したことがリスク回避の円買いを促したほか、本邦輸出企業からユーロ売りが入ったこともあり、東京市場終盤にかけて113.05円付近まで反落したものの、ECBの利上げ観測が根強く、欧州勢参入後に再びユーロ買いが強まると113.50円付近まで反発した。欧州時間ではNYダウ先物がジリ高となったことを受けリスク許容度の低下に歯止めがかかり、低金利の円を売る動きが見られた上、英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨で利上げを主張する委員が3人に増えたことや、利上げ幅を引き上げた委員がいたことを受けポンド円が上昇、つられる形でユーロ円も133.822円まで上昇した。NY時間ではNYダウが軟調に推移したことでリスクポジション解消の売りも散見されたものの、引けにかけては欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測などを背景に反発したことで前日比+0.407円の113.397円で取引を終え、3日ぶりに反発し取引を終えた。
本日の展開
本日のドル円だが、引き続きアフリカ・中東情勢緊迫を背景としたリスク回避型の円買いが優勢な局面とみる。特にリビアではカダフィ大佐が演説で退陣を拒否した上「必要であれば武力を行使する」と発言し、デモを強硬措置で抑え込むことを示唆するなど緊張感が高まっており、恐怖指数(VIX指数)は21.57と前日から更に上昇し、安全圏の20から跳ね上がるなど市場参加者のリスク許容度は大きく後退していると考えられる。ドルも安全通貨であるため一方的な円高は考えにくいものの、米長期金利が節目の3.50%を下回り、FRBの年内利上げ観測も大きく後退しているなか、金利面のサポートも剥落しつつあり、ドル売りがやや優勢となろうか。テクニカル面でも2月4日の81.069円からの上昇ムードは色あせており、短期的なサポートとして期待された25日移動平均線や、日足一目均衡表雲下限も一時下抜けるなど下向きのトレンドが示現しそうな気配もある。下値の目処としては2月4日安値81.069円から2月16日高値83.969円の76.4%押し81.75円付近としたい。なお、ムーディーズによる日本国債の格下げ懸念が高まっているものの、先週S&Pが格下げを発表しており、目新しい材料とはなりにくいだろう。
ユーロは、複数のECB当局者がインフレに対するタカ派な発言しているなか、ファンロンパイ欧州連合(EU)大統領が「ユーロには健全なファンダメンタルズが備わっている」「ユーロは強い通貨として維持し続けるだろう」等と発言し、来月3月3日のECB会合で「出口戦略」が話し合われるのでは?との期待が高まっている。しかし一方のドルは米長期金利が低下し、FRBの利上げ期待も後退しているため、「出口戦略」に向けた欧米のスタンスの違いからドルを積極的には買いづらいといえよう。また、テクニカル面でも5日移動平均線と25日移動平均線がゴールデンクロスを形成しているように地合いは強く、短期的な上値目標は年初来高値である1.38612ドルとしたい。ただ、対円は中東情勢を巡る先行き不透明感の拡大を受けて市場ではリスクポジションを圧縮する円買いの動きもみられることから、現時点では中立スタンスで様子をみるのが賢明とも思える。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 81.70-83.50
ユーロ・円 112.50-115.00
ポンド・円 131.50-135.00
【今日の主な経済指標】
16:00 DEM 国内総生産(GDP、改定値)
18:30 ZAR 卸売物価指数(PPI)
19:00 EUR 消費者信頼感
22:30 USD 耐久財受注
22:30 USD 新規失業保険申請件数
00:00 USD 四半期住宅価格指数
00:00 USD 住宅価格指数
00:00 USD 新築住宅販売件数
≪2011年2月23日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「スクウェア」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
短期的なサポートとして期待された82.50円付近での値動きとなったことで同水準での
買いが優勢となり80%以上の参加者が「ブル」となっている。中東情勢緊迫化を背景
に株安連鎖→米長期金利低下→ドル売りがメインシナリオとなるものの、今週に入り
米経済指標は堅調で、今夜発表の新規失業保険申請件数 、新築住宅販売件数も強い数
字となれば下値はしっかりとした展開も想定できる。仮にもみ合いとなった場合はRSI
を見ながら逆張りが有効となりそうだ。
ポンド円「スクウェア」
BOE(英中銀)議事録では、金利引き上げ主張者が3人に増えていたことが明らかとなり、
これまでセンタンス委員とウィール委員の2名が0.25%の利上げ主張していたが、今回
はデール委員が0.25%の利上げの主張を行った。さらに今回はセンタンス委員が0.5%
の利上げを主張するなど早期の金利引上げ期待が後押しし対主要通貨で上昇となった。
しかし、先週18日に「MPC政策金利の引き上げに投票した委員が増えた」との噂が広が
っていたこともあり、利上げ支持派3人は想定範囲内だったことで、直後には材料出尽
くし感から反落するなど方向感は得られず、参加者のポジションも「拮抗」した。イベ
ントの終了で今後は中東情勢に注目が集まると思われるが、中東向けのエクスポージャ
ーが大きい英金融セクターに対する懸念が高まる可能性は否めず、神経質な局面が続き
そうだ。仮に中東情勢悪化のニュースが飛び込んできた場合は1月26日安値129.514円か
ら2月16日の高値135.466円の半値押し132.49円が下値目標になりそうだ。
NZドル円「ブル」
クライストチャーチで昨日発生した地震がNZ経済に打撃を与えるとの懸念に加え、地震
を受けてRBNZ(NZ準備銀)は利上げを先送りするとの見方から続落となっているが、参
加者はリバウンドを狙って「強気」スタンスだ。しかし、一部報道ではRBNZの利下げも
あり得るとの憶測が浮上している上、中東情勢の緊迫化でリスク回避型の円買いが強ま
る可能性もあり、弱気のバイアスがかかりそうだ。また、テクニカル面で見るとRSIな
どオシレーター系指標では買いシグナルが点滅しているものの、三角持ち合いからの下
放れとなっており、昨年10月29日につけた60.70円付近まで下値にサポートがない点も
気になるところだ。
ユーロ円は、メルシュ・ルクセンブルク中銀総裁や、ウェリンク・オランダ中銀総裁のタカ派的な発言を受けたECBの早期利上げ観測を背景に、買いが強まったNY市場の流れを引き継ぐなか東京市場序盤は113.55円付近まで上昇。その後、日経平均が先物主導で下げ幅を拡大したことがリスク回避の円買いを促したほか、本邦輸出企業からユーロ売りが入ったこともあり、東京市場終盤にかけて113.05円付近まで反落したものの、ECBの利上げ観測が根強く、欧州勢参入後に再びユーロ買いが強まると113.50円付近まで反発した。欧州時間ではNYダウ先物がジリ高となったことを受けリスク許容度の低下に歯止めがかかり、低金利の円を売る動きが見られた上、英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨で利上げを主張する委員が3人に増えたことや、利上げ幅を引き上げた委員がいたことを受けポンド円が上昇、つられる形でユーロ円も133.822円まで上昇した。NY時間ではNYダウが軟調に推移したことでリスクポジション解消の売りも散見されたものの、引けにかけては欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測などを背景に反発したことで前日比+0.407円の113.397円で取引を終え、3日ぶりに反発し取引を終えた。
本日の展開
本日のドル円だが、引き続きアフリカ・中東情勢緊迫を背景としたリスク回避型の円買いが優勢な局面とみる。特にリビアではカダフィ大佐が演説で退陣を拒否した上「必要であれば武力を行使する」と発言し、デモを強硬措置で抑え込むことを示唆するなど緊張感が高まっており、恐怖指数(VIX指数)は21.57と前日から更に上昇し、安全圏の20から跳ね上がるなど市場参加者のリスク許容度は大きく後退していると考えられる。ドルも安全通貨であるため一方的な円高は考えにくいものの、米長期金利が節目の3.50%を下回り、FRBの年内利上げ観測も大きく後退しているなか、金利面のサポートも剥落しつつあり、ドル売りがやや優勢となろうか。テクニカル面でも2月4日の81.069円からの上昇ムードは色あせており、短期的なサポートとして期待された25日移動平均線や、日足一目均衡表雲下限も一時下抜けるなど下向きのトレンドが示現しそうな気配もある。下値の目処としては2月4日安値81.069円から2月16日高値83.969円の76.4%押し81.75円付近としたい。なお、ムーディーズによる日本国債の格下げ懸念が高まっているものの、先週S&Pが格下げを発表しており、目新しい材料とはなりにくいだろう。
ユーロは、複数のECB当局者がインフレに対するタカ派な発言しているなか、ファンロンパイ欧州連合(EU)大統領が「ユーロには健全なファンダメンタルズが備わっている」「ユーロは強い通貨として維持し続けるだろう」等と発言し、来月3月3日のECB会合で「出口戦略」が話し合われるのでは?との期待が高まっている。しかし一方のドルは米長期金利が低下し、FRBの利上げ期待も後退しているため、「出口戦略」に向けた欧米のスタンスの違いからドルを積極的には買いづらいといえよう。また、テクニカル面でも5日移動平均線と25日移動平均線がゴールデンクロスを形成しているように地合いは強く、短期的な上値目標は年初来高値である1.38612ドルとしたい。ただ、対円は中東情勢を巡る先行き不透明感の拡大を受けて市場ではリスクポジションを圧縮する円買いの動きもみられることから、現時点では中立スタンスで様子をみるのが賢明とも思える。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 81.70-83.50
ユーロ・円 112.50-115.00
ポンド・円 131.50-135.00
【今日の主な経済指標】
16:00 DEM 国内総生産(GDP、改定値)
18:30 ZAR 卸売物価指数(PPI)
19:00 EUR 消費者信頼感
22:30 USD 耐久財受注
22:30 USD 新規失業保険申請件数
00:00 USD 四半期住宅価格指数
00:00 USD 住宅価格指数
00:00 USD 新築住宅販売件数
≪2011年2月23日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「スクウェア」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
短期的なサポートとして期待された82.50円付近での値動きとなったことで同水準での
買いが優勢となり80%以上の参加者が「ブル」となっている。中東情勢緊迫化を背景
に株安連鎖→米長期金利低下→ドル売りがメインシナリオとなるものの、今週に入り
米経済指標は堅調で、今夜発表の新規失業保険申請件数 、新築住宅販売件数も強い数
字となれば下値はしっかりとした展開も想定できる。仮にもみ合いとなった場合はRSI
を見ながら逆張りが有効となりそうだ。
ポンド円「スクウェア」
BOE(英中銀)議事録では、金利引き上げ主張者が3人に増えていたことが明らかとなり、
これまでセンタンス委員とウィール委員の2名が0.25%の利上げ主張していたが、今回
はデール委員が0.25%の利上げの主張を行った。さらに今回はセンタンス委員が0.5%
の利上げを主張するなど早期の金利引上げ期待が後押しし対主要通貨で上昇となった。
しかし、先週18日に「MPC政策金利の引き上げに投票した委員が増えた」との噂が広が
っていたこともあり、利上げ支持派3人は想定範囲内だったことで、直後には材料出尽
くし感から反落するなど方向感は得られず、参加者のポジションも「拮抗」した。イベ
ントの終了で今後は中東情勢に注目が集まると思われるが、中東向けのエクスポージャ
ーが大きい英金融セクターに対する懸念が高まる可能性は否めず、神経質な局面が続き
そうだ。仮に中東情勢悪化のニュースが飛び込んできた場合は1月26日安値129.514円か
ら2月16日の高値135.466円の半値押し132.49円が下値目標になりそうだ。
NZドル円「ブル」
クライストチャーチで昨日発生した地震がNZ経済に打撃を与えるとの懸念に加え、地震
を受けてRBNZ(NZ準備銀)は利上げを先送りするとの見方から続落となっているが、参
加者はリバウンドを狙って「強気」スタンスだ。しかし、一部報道ではRBNZの利下げも
あり得るとの憶測が浮上している上、中東情勢の緊迫化でリスク回避型の円買いが強ま
る可能性もあり、弱気のバイアスがかかりそうだ。また、テクニカル面で見るとRSIな
どオシレーター系指標では買いシグナルが点滅しているものの、三角持ち合いからの下
放れとなっており、昨年10月29日につけた60.70円付近まで下値にサポートがない点も
気になるところだ。