FXレポート

リスク回避の流れ?世界経済不透明感への反応が問われる

先週末の為替相場は米雇用統計を控えた様子見相場からレンジ内取引となった。その後、上海総合指数の底堅い推移を背景に円売りの展開となったものの、上値も限定的でドル円は92円台後半、ユーロ円は132円台後半での推移となった。

注目の米雇用統計は失業率が予想よりも悪化している一方で、非農業部門雇用者数が事前予想よりも改善されたことから市場では判断が交錯する状況に。発表直後は瞬間的に上下に揺れ動く展開となったものの、結果的に米株高を背景にドル円を93円台、ユーロ円を133円台まで押し上げるとなった。その後も底堅く推移したことでドル円は92.909円、ユーロ円は132.899と円安水準で引けた。


今週の展開

先週の為替相場は6.7%と大幅下落した上海株式相場の動向から世界景気の先行き不安が強まり、リスク回避の流れが強まるとともに、金融機関の破綻報道も加わったことで、投資家心理は一層の冷え込みを見せている。また、ファンダメンタルズ的に強いと見られていたユーロ圏も失業率の悪化から景気先行き見通しに不安感が醸成されているため、強いユーロ・高金利通貨買いとの展開はやや予想し辛い状況か。週の大きなイベントとしてはイングランド銀行(BOE)金利発表、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利発表がある。発表後の要人発言にも注目したい。


ドルは雇用統計を無難にこなしたことから、一時93円台を回復しているものの、先週序盤の93.50円台までは届いていない。住宅関連市況や産業関連市況が回復を見せるなか、失業率は9.7%と、83年6月(10.1%)以来、26年2ヶ月ぶりの水準まで悪化しており、米雇用情勢の悪化を裏付ける状況となっている。業率10%が現実味を帯びてきており、消費主導の景気回復に赤信号が灯り始めている。ドル円を買い支える材料が乏しいことから方向感に乏しい展開が予想されそうだ。




[今週の予想レンジ]
ドル ・円 90.00円~95.00円
ユーロ・円 129.00円~136.00円
ポンド・円 145.00円~155.00円




【今週の主な経済指標】
9/7
08:50(日) 外貨準備高
19:00(独) 製造業新規受注 前年同月比
19:00(独) 製造業新規受注 前月比

9/8
08:00(英)  英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数
08:00(英)  英小売連合(BRC)小売売上高調査
08:50(日)  マネーストックM2 前年同月比
08:50(日)  国際収支・貿易収支
08:50(日)  国際収支・経常収支
10:30(豪)  NAB企業景況感指数
14:00(日)  景気ウオッチャー調査-現状判断DI
14:45(ス)  失業率
15:00(独)  経常収支
15:00(独)  貿易収支
17:30(英)  製造業生産指数 前月比
17:30(英)  鉱工業生産指数 前月比
21:30(加)  住宅建設許可件数 前月比
28:00(米)  消費者信用残高

9/9
10:30(豪)  住宅ローン件数 前月比
10:30(豪)  小売売上高 前月比
14:00(日)  景気一致指数(CI)・速報値
14:00(日)  景気先行指数(CI)・速報値
15:00(独)  消費者物価指数(CPI、改定値)前月比
17:30(英)  貿易収支
20:00(米)  MBA住宅ローン申請指数
21:15(加)  住宅着工件数
27:00(米)  米地区連銀経済報告(ベージュブック)

9/10
06:00(ニ)  ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中央銀行)政策金利
08:50(日)  国内企業物価指数 前年同月比
08:50(日)  国内企業物価指数 前月比
08:50(日)  機械受注 前月比
10:30(豪)  失業率 
10:30(豪)  新規雇用者数
20:00(英)  イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
21:30(米)  新規失業保険申請件数
21:30(米)  貿易収支
21:30(加)  貿易収支
22:00(加)  カナダ銀行 政策金利

9/11
08:50(日)  四半期実質国内総生産(GDP、改定値) 年率換算
08:50(日)  四半期実質国内総生産(GDP、改定値) 前期比
14:00(日)  消費者態度指数・一般世帯
17:00(欧)  欧州中央銀行(ECB)月報
17:30(英)  卸売物価指数(食品、エネルギー除くコアPPI) 前年同月比
21:30(米)  輸出物価指数 前月比
21:30(米)  輸入物価指数 前月比
21:30(加)  新築住宅価格指数 前月比
23:00(米)  ミシガン大学消費者態度指数・速報値
23:00(米)  卸売在庫 前月比
27:00(米)  月次財政収支


さて、マーケット参加者のポジションは......

 ≪2009年9月4日クローズ時点≫
 ドル・円  : ブル
 ユーロ・円  : ブル
 ユーロ・ドル : ベア
 英ポンド・円 : ブル
 豪ドル・円  : ブル
 NZドル・円  : ブル

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。


 ドル・円は「ブル」
 非農業部門雇用者数が予想よりも強い結果となったことからドルが買戻されており、参加者は
 素直に「ブル」を選択している。しかし、失業率は大幅な悪化となっており、雇用情勢の先行き
 は決して楽観しできない。ドル買いを支える新規材料を模索する状況となろうか。
 
    
 ユーロ・円は「ブル」
 参加者の間では依然として「ブル」が選択されているものの、「拮抗」に向かいつつある状況
 となっている。ユーロ買いを下支えしている株価の動向を睨みつつの展開となろうが、ユーロ
 圏のファンダメンタルズの状況を再確認する1週間となりそうだ。


 ポンド・円は「ブル」
 ドル円やユーロ円と異なり、先週始めの段階まで値を戻す結果となっている。今週はイングランド
 銀行(BOE)の政策金利が発表される。また、BOEによる資産買取枠についての動向も注目されて
 おり、買い取り枠拡大の流れとなれば、ポンドの買い戻しが更に進む可能性もありそうだ。
 

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