FXレポート

根強い欧州債務懸念!

昨日のドル円は、東京市場序盤で月末が近いことや5・10(ゴトー)日要因により仲値へ向けて、ドル不足が観測されたことからドル買い優勢となり77円付近まで上昇したものの、本邦輸出企業から実需の売りが散見されて失速となった。その後はNYダウ先物がマイナス圏に沈んだことが材料視され76.80円付近まで下押す動きとなった。欧州勢参加後は、先日の米7月耐久財受注の好感を背景に米景気の先行きに対する過度に悲観的な見方が後退し77.10円付近での堅調な推移となった。NY市場に入り、独の空売り禁止措置をめぐる憶測のほか、独国債の格下げの噂などから欧米株価下落を背景に、対ユーロ主導でドル買いの流れが強まり、77.60円まで上昇。引けにかけては、26日(金)のジャクソンホールでの講演で、バーナンキFRB議長が追加措置を示唆するとの期待が後退したことでドル買いの流れとなり77.491円(前日比:+0.508)で取引を終えた。

ユーロ円は、東京市場にドル円の動きに連動して111.17円付近までじり高となったものの、上海金取引所で金価格が値幅制限いっぱいまで急落したとの報道を受け対ユーロでドル高となったことを背景にユーロ円は110.60円付近まで反落した。欧州勢参加後は、独GFK消費者信頼感調査が5.2となり市場予想を上回ったことが支えとなり、リスク選好による円売りが加速し111.60円まで上昇となった。NY勢参加後もリスク選好的な動きが継続したほか、フロー主体で買いが先行する展開となり111.63円まで上昇する動きとなった。その後、独当局が株式市場における空売り規制を設けるとの憶測や、独国債の格付け引き下げ噂などから欧州の信用リスク懸念が広がり欧米の株価が下落するとユーロ円も下方向を試す展開となり、110.860円付近まで値を下げた。その後、空売り規制に関しては独当局が否定したほか、国債の格付け引き下げに対しても、格付け会社フィッチが独国債の「AAA」格付けを確認したことで反発して値を戻し111.435円(前日比:+0.464)で取引を終えている。

                                      今日の展開

ドル円は、このところ米国経済指標はさえない結果も多かったが、先日の米7月耐久財受注が予想を上回る好結果となったことで、米国の景気先行き不透明感が和らぎ株価上昇を背景に久々のドル上昇要因となっている。本日ジャクソンホールでの講演でバーナンキFRB議長が講義を行う予定ではあるが追加措置を示唆するとの観測は後退しているため、もし追加措置に関して発言があれば再びドル安の流れとなる可能性もあるため積極的にポジションを傾けられるような状況でもなく、慎重に対応していきたい。

ユーロは、本日のバーナンキFRB議長のジャクソンホールでの講演を控えて様子見ムードが徐々に高まっている。ジャクソンホール講演で追加緩和(QE3)について具体的に言及しない場合、ドル金利の上昇からドルが買い戻されるリスクもあるほか、株式市場が失望売りとなれば、リスク回避のドル買いとなる可能性も考えられるため、欧州金融機関のドル資金調達難の噂や株価の下落も警戒する必要があるだろうか。また根本的な欧州債務問題が解決されていないため、依然として下値リスクは高いと言えようか。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  76.50-78.00
ユーロ・円 110.50-115.50
ポンド・円 125.00-128.00

【今日の主な経済指標】
08:30 JPY 東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)[前年同月比] 8月
08:30 JPY 全国消費者物価指数(CPI)[前年同月比] 7月
08:30 JPY 全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)[前年同月比] 7月
15:00 DEM 輸入物価指数[前月比] 7月
15:00 DEM 輸入物価指数[前年同月比] 7月
17:00 EUR マネーサプライM3[前年同月比] 7月
17:30 GBP 四半期国内総生産(GDP、改定値)[前期比] 4-6月期
17:30 GBP 四半期国内総生産(GDP、改定値)[前年同期比] 4-6月期
18:30 CHF KOF景気先行指数 8月
21:30 USD 四半期実質国内総生産(GDP、改定値)[前期比年率] 4-6月期
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数・確報値 8月

≪2011年8月25日クローズ時点≫
ドル・円   :「ブル」
ユーロ・円  :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円  :「ブル」
NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
77円台に回復はしたものの、まだまだ安値圏であることもありこの水準では割安感
から「ブル」に変化は無かった。本日ジャクソンホールでの講演でバーナンキFRB議
長が講義を行う予定があり、もし追加措置に関して発言があれば再びドル安の流れ
になる可能性もあるため積極的にポジションを傾けられるような状況でもなく、慎
重に対応していきたい。

ポンド円「ブル」
円高の地合が継続するなか、リバウンドを狙った買いや、バーゲン・ハント的な買
いが入り市場参加者が「ブル」の地合いを継続している。8月の英中銀金融政策委員
会(MPC)で、これまでの利上げ主張から据え置きに転じたウィールMPC委員は、「英
経済にとって必要であれば、更なる量的緩和を実施するだろう」 「金利引き下げの
可能性は非常に低い 」と発言しているが、英国の景気後退のリスクは否定できない
ため注意が必要だろう。

豪ドル円「ブル」
NYダウや原油先物相場の下落に伴って、資源国通貨の豪ドルは売りが選好されたも
のの、参加者は絶対的な金利差を背景に豪ドル買い意欲は旺盛で「ブル」を維持。
ドル円が77円台を回復し、一旦円高に歯止めがかかったことで、日米欧の政策金利
から豪ドルを中心に高金利通貨・資源国通貨への資金シフトが続く可能性が高く、
中長期的な買い場を探す展開となろうか。

【お知らせ】
来週より「みんなのFX」提供のマーケットレポートの内容を一部変更いたします。
今後とも「みんなのFX」ならびにトレイダーズ証券株式会社をよろしくお願いいたします。        

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