FXレポート

ユーロの先行き不透明感強まる!!

昨日のドル円は序盤、日経平均の堅調地合いを背景にリスク回避姿勢が後退すると、週明けのゴトー(5・10)日で仲値に向けてドル買いが強まり77.085円まで上昇した。しかし、仲値を過ぎると、一転してポジション調整の売りが観測され76.80円付近まで軟化し膠着に。欧州勢参入後も、新規取引材料の不足から76.85円前後での小動きとなり、総じて動意の出ない膠着相場となった。しかしNY市場に入ると、NY連銀製造業景況指数や対米証券投資がともに市場予想を下回るとリスク回避の円買いが強まり76.590円まで下落した。引けにかけて、米株式市場の株高を受けてクロス円が上昇すると、ドル円も連れ高となり76.866円まで反発して取引を終えたものの、7営業日続落となっている。

ユーロ円は序盤、日本四半期実質国内総生産(GDP)が-0.3%と市場予想の-0.6%を上回ったことを受けて、日経平均が上昇しリスク回避が和らいだことにより110.260円まで上昇した。欧州市場に入ると、底堅い欧州株式市場の動きを受けて、ユーロ買いが先行する場面が見られてものの、目立った材料がなかったために株価の上昇幅が限られると、ユーロ円は110.00円前後での小動きとなった。NY市場に入ると、米株式がグーグルによるモトローラ・モビリティの大型買収案件に好感して200ドル超の上昇すると、投資家のリスク選好姿勢の高まりからユーロ円は111円台を示現し3営業日続伸となる111.005円で取引を終えた。

                            今日の展開

ドル円は、米経済成長の減速懸念から下値リスクが高まっている。9日FOMCでは「物価安定のもとで力強い景気回復を促進するため、利用可能な政策手段の範囲について協議した」「必要に応じてこれらの手段を用いる準備がある」と追加金融緩和策(QE3)の可能性を示唆したため、米長期金利が一時2.000%付近まで低下するなど、日米金利差縮小を意識した売りが観測されている。また、本邦による為替介入の警戒感が相場の下値支えとなっているものの、野田財務相が「GDP予想より数字悪くなかった」と発言したほか、与謝野経済財政相も「足元景気は持ち直している、今年後半には比較的高めの成長実現する」と発言するなど介入期待が後退しており、投機的な動きから史上最安値の更新も想定しておきたい。

ユーロは、ルービニ教授がウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューで「いずれ、ユーロ圏の中で弱いギリシャとポルトガルが、加盟国にとどまるメリットよりもコストが高いと判断し、脱退を決めるかもしれない」と述べるなどソブリンリスクが高まりそうだ。また、ECBによるイタリア、スペインの国債の買い入れと一部株式市場の空売り規制でリスク回避姿勢が後退しているものの、依然としてユーロの債務問題について、先行き不透明の中ではダウンサイドリスクが高く上値は限定的となろう。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  75.50-77.50
ユーロ・円 109.00-112.00
ポンド・円 124.00-128.00

【今日の主な経済指標】
15:00 DEM  国内総生産(GDP、速報値)[前期比] 4-6月期
15:00 DEM  国内総生産(GDP、速報値)[前年同期比] 4-6月期
17:30 GBP  消費者物価指数(CPI)[前月比] 7月
17:30 GBP  消費者物価指数(CPI)[前年同月比] 7月
17:30 GBP  小売物価指数(RPI)[前月比] 7月
17:30 GBP  小売物価指数(RPI)[前年同月比] 7月
18:00 EUR  四半期域内総生産(GDP、速報値)[前期比] 4-6月期
18:00 EUR  四半期域内総生産(GDP、速報値)[前年同期比] 4-6月期
18:00 EUR  貿易収支 6月
21:30 CAD  製造業出荷[前月比] 6月
21:30 USD  輸入物価指数[前月比] 7月
21:30 USD  輸出物価指数[前月比] 7月
21:30 USD  建設許可件数[前月比] 7月
21:30 USD  住宅着工件数[前月比] 7月
21:30 USD  建設許可件数[年率換算件数] 7月
21:30 USD  住宅着工件数[年率換算件数] 7月
22:15 USD  設備稼働率 7月
22:15 USD  鉱工業生産[前月比] 7月

≪2011年8月15日クローズ時点≫
ドル・円   :「ブル」
ユーロ・円  :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円  :「ブル」
NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。


ドル円は「ブル」
ドルと円が安全通貨同士で同一方向を向いていたこともあり、方向感に乏しい動きと
なったが、参加者は史上最安値が意識される水準ということもあり「買い」優勢。
本日の米経済指標は、住宅関連指標が複数控えており注目が集まりそうだ。特に住宅
着工件数と建設許可件数は景気動向に敏感で市場も反応しやすいため、結果を見極め
つつ慎重に対応したい。

ポンド円「ブル」
米株式が大幅続伸したことを受けて、リスク選好姿勢が強まり高金利通貨のポンドが
選考され、参加者も「ブル」を選択。昨日の値動きから米株式の上昇局面では、リス
クオンとしてポンドが選考されているため、今週はそういった状況になった場合には
積極的に狙っていきたいか。ただし、中長期的にみると足元の英経済では、英中銀
(BOE)の四半期インフレリポートで成長見通しを引き下げるとしているためポジシ
ョの傾け過ぎには注意したい。

豪ドル円「ブル」
欧米株式市場の株高や原油や金といった商品相場が反発したことで、リスク回避の巻
き戻しが強まり「買い」優勢。米国の債務問題が懸念され7月28日から8営業日続落と
パニック相場となったものの、米株式が持ち直したことにより豪ドル円は反発してい
る。しかし、貿易でつながりの深い中国の経済成長が減速しているため、強き一辺倒
にはいかないと考えられよう。

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