FXレポート

介入後もドル安基調は変わらずか!?

金曜日のドル円だが、東京市場序盤は節目の5・10日(ゴトー日)で輸出企業のドル売りが出やすい状態にあったことや、昨日円売り介入が行われた午前10時頃には本日も介入を行うのではと警戒感が高まり、79.30円付近まで小幅に上昇した。しかし、その後は欧米から今回の円売り介入に関して疑問視する声があがったことで、単独での介入が行いづらくなったとの見方から軟調な流れとなり79円割れを示現。また、欧州勢参加後も昨晩NYダウが500ドル以上の暴落となり、流れを引き継ぐ形で日経平均株価も359円安で引け、欧州株価も軒並み下落するなど世界同時株安の地合いに円が選好され78.50円付近まで下値を拡大した。NY市場では注目の7月米雇用統計が発表され、失業率が9.1%と前月から0.1ポイント改善し、非農業部門就業者数は前月比11万7千人増と、市場予想の7万5千人を上回り、再び79円台に反発する動きも見られたものの、欧米の財政・景気不安などを背景に円高圧力は強く、すぐに78円台半ばまで押し戻された。また、引けにかけても格付け会社S&Pが、米国の格下げを行うとの噂が流れたほか、ゴールドマン・サックスが米国の成長見通しを引き下げ、2012年末までに失業率は9.25%まで上昇し、再び景気後退に向かう可能性があるとしたことが重しとなり78.503円まで下落して取引を終えている。

ユーロ円は、世界景気の減速懸念からNYダウが大幅安となったほか、トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁が定例記者会見で、ユーロ圏の景気下振れリスクや国債買い入れ再開の可能性に言及したことを受けて売り優勢の展開。また、日経平均株価や上海総合指数などアジア株全般が全面安となり、投資家のリスク回避姿勢も高まったことも重なり一時11.345円まで下落した。しかし、その後は7月米雇用統計が市場予想を上回ったことを受けてリスク許容度の改善から一時112.277円と日通し高値を付けた。NYダウが200ドル超下落したタイミングで110円台後半まで下押しする場面もあったが、引けにかけてECBがイタリア国債の購入を検討していると伝わると112円台を回復し、3日続伸の112.192円で取引を終えている。

                           今週の展開

7月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比プラス11万7千人となり、市場予想を上回ったほか失業率は9.1%と前月の9.2%から改善しており、総じて悪い内容とは言えない。しかし、直近のGDPやISM製造業・非製造業景況指数などを見ても、一連の米経済指標は非常に悪く、市場では米雇用統計の良好さを一時的なものと認識しているようだ。また、政府・日銀の市場介入も、過去最大規模の円売り介入を実施し、強い姿勢も打ち出していることから円高局面では継続的な円売り介入が見込まれるものの、単独介入では効果が限定的であるほか、77円前半の介入ラインまでは投機筋のターゲットとなりなすく、仕掛的な円高にも注意する必要があるだろう。

イベントでは9日に4米連邦公開市場委員会(FOMC)、10日に6月卸売在庫、7月月次財政収支、11日に6月貿易収支、12日に7月小売売上高、8月ミシガン大学消費者態度指数速報値、6月企業在庫などが発表される。その中でも特に注目を集めるのは9日のFOMCとなるが、追加緩和観測(QE3)が再燃するのでは?といった憶測も日増しに高まっており、今週もイベントリスクの高い一週間となりそうだ。

ユーロはトリシェECB総裁はユーロ圏金融市場の緊張緩和に向けて流動性供給オペの実施を発表したものの、逆に欧州金融機関の資金繰り不安を高める結果となっており、欧州信用不安に対する市場の警戒心は高まっている。また、対円でも欧州や米国を始めとした世界的な景気鈍化を嫌気して株式市場が動揺しており、基本的には逃避マネーが円に向かいやすいとみておいたほうが無難かもしれない。また、上昇の止まらないスイスフランだが、SNB(スイス国立銀行)が市場介入する可能性は十分考えられ、対スイスフランは波乱がありそうだ。

[今週の予想レンジ]
ドル ・円   75.00-80.00
ユーロ・円 105.00-115.00
ポンド・円 125.00-135.00

【今週の主な経済指標】
8月8日  
8:50 JPN   国際収支-経常収支
8:50 JPN   国際収支-貿易収支
14:00 JPN  日銀金融経済月報(基本的見解)-公表

8月9日  
8:01 GBR   RICS住宅価格
15:00 GER   経常収支
15:00 GER   貿易収支
17:30 GBR   鉱工業生産 
17:30 GBR   貿易収支
21:15 CAN   住宅着工件数

8月10日  
3:15 USA  米FOMC政策金利発表
8:50 JPN  日銀金融政策決定会合議事要旨
15:00 GER   消費者物価指数

8月11日  
8:50 JPN   機械受注 
10:30 AUS   新規雇用者数 / 失業率
21:30 CAN   新築住宅価格指数 
21:30 USA   貿易収支
21:30 CAN   貿易収支
21:30 USA   新規失業保険申請件数

8月12日  
13:30 JPN   鉱工業生産
18:00 EUR   鉱工業生産 
21:30 USA   小売売上高  / 小売売上高
22:55 USA   ミシガン大学消費者信頼感指数

≪2011年8月5日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
7月米雇用統計が市場予想を上回ったことを受け「ブル」の割合は約85%まで
上昇した。しかし、欧米の財政・景気不安などを背景に円高圧力はなお強く、
円売り介入の効果も限定的との見方が多い。また、テクニカル面でも介入日
の高安76.973円⇒80.230円の半値押し水準にあたる78.601円を下抜けており、
5日移動平均線の差しかかる77.80円付近をサポートとしたいが、ここをブレ
イクするようだとドル反発期待は完全に萎んでしまいそうだ。

ポンド円「ブル」
特に材料が出たわけではないが、押し目を買いのチャンスと見る市場参加者
が依然として多く「ブル」となっている。英国は4-6月期GDPが弱い成長と
なったほか、英7月製造業PMIが分水嶺の50を下回るなど経済状況は芳しくな
いが、欧米の債務問題の不透明感が資金逃避先としての英国債の魅力を高め
ており、ポンドの下支え要因になる可能性がある。また、テクニカル面でも
5日移動平均線と25日移動平均線がゴールデンクロスを形成することができ
れば、日足一目均衡表の雲下限である130.50円付近まで上値余地があろうか。

豪ドル円「ブル」
豪中銀(RBA)四半期金融経済報告の内容が公表されたが、特別動意づく内
容にはならなかったものの、高い金利水準を背景に参加者の買い意欲は旺盛
で「ブル」が圧倒している。今週は、9日に中国消費者物価指数(CPI)、同
日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、11日に豪雇用統計と国内外で重要イベ
ントが続くため、これらの結果を軸にリスク許容度の動向に一喜一憂する相
場展開となりそうだ。テクニカル面では4月から下降トレンドラインの下限
となる82円を割れれば3月17日安値73.973円⇒4月11日高値90.024円の61.8%
押しである80.10円付近も視野に入ってこようか。

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