FXレポート

景気底打ち期待が更に強まる状況となるか

 経営危機に陥っていた米自動車大手クライスラーが、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請すると発表したが、反応は限定的で米国や世 界の景気先行きに対する不安は後退しつつあり、特に製造業の景況感は改善の兆しも見せ始め、米サプライ管理協会(ISM)の4月製造業景況指数は40.1 と市場が予想した38.3を上回り、ドル円は一時99円53銭をつけ、景気底打ち期待が更に強まる状況となるかが注目される。

 ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)は5月4日に、シニア銀行融資担当者貸出調査を発表し、非伝統的住宅ローン(変動金利ローン)、クレジット・カード・ローンなどの信用悪化を予想しており、引き続きこの問題に対する報道等には注意が必要だ。

 さて、今週末の8日金曜日には、米国の雇用統計発表が控えており予想では米失業率は8.9%と今回も前月よりさらに悪い結果の可能性が高い。一方、ファ ンダメンタルズでは米国や世界の景気先行きに対する不安は後退しつつあり、ドル円は節目である100円をトライするかに注目が集まりそうだ。このような視 点から短期的にはドル売り継続、長期的にはドルの買い場を模索する状態が続くだろう。

 また、今週はユーロ円に注視したい。引き続き株価を睨んだ動向となりそうだが、7日には欧州中央銀行(ECB)政策金利が発表され、リスク選好の流れか ら対ドルでのユーロ買いが再び盛り上がる状況となれば、ユーロ円も4月13日以来の133円台を回復する可能性も見えてきそうだ。

 マーケット参加者のポジションは......

 ≪2009年5月5日クローズ時≫
 ドル・円 : ブル
 ユーロ・円 : ブル
 ユーロ・ドル : ベア
 英ポンド・円 : ブル
 豪ドル・円 : ブル
 NZドル・円 : ブル
 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

 ドル・円は「ブル」、先週末発表があった日本の失業率悪化や、米国で発表されたISM製造業景況指数などが予想よりも好結果となり、ドル買いが優勢となっている模様。また、一連の米国経済指標が予想を上回る発表がされ、さらなる上値を追う展開も予想されそうだ。

 ユーロ・円は「ブル」、米自動車大手クライスラーの破綻などを背景としておそらくリスク回避姿勢につながりユーロ買いを選択している模様。ただ、現状でのリスク志向の高まりは行き過ぎとの声もあり、目下、130円台を維持できるかに注目したい。

 ユーロ・ドルは「ベア」、調整の動きとなっているものの、以前として上値期待は高まっている模様。ただ、今週7日にECB理事会があり、市場は政策金利 を0.25%利下げの1.0%に引き下げてくることを確実視しており、1%以下も討議すべきとの意見も一部のユーロ参加国の中銀総裁から出おり、その内容 もどうなるか注目したい。

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