FXレポート

ギリシャデフォルト懸念高まる!!債務再編の行方に注目か!?

 昨日のドル円は序盤、本邦4月貿易収支が-4,637億円と市場予測の-7,037億円から赤字幅を縮小したことを好感し円買いが強まったものの、5・10日(ゴトウ日)仲値に向けてドル買いが優勢となり82.15円付近まで上昇した。買い一巡後に米ウォールストリードジャーナル紙が「大手米銀5行が住宅差し押さえ問題に関連した訴訟で少なくとも170億ドルの賠償金を支払う可能性がでてきた」との報道が伝わり、GLOBEXのNYダウ先物で100ドル近く急落すると、クロス円を中心にリスク回避の円買いが強まりドル円は81.791円まで軟化した。ただ、欧州勢参入後には、NYダウ先物が下げ幅縮小したことを受けてリスク回避の円買いが一服すると、戻りを試す展開から82.175円まで反発。NY市場に入ると、米経済指標が強弱入り混じった内容を受けて売買が交錯していたが、米5年債入札が好調で米長期国債利回りが低下すると、日米金利差縮小を意識した売りが散発的に入り81.962円で取引を終えたが、前日比は+0.042円と方向感にかける展開となっている。

ユーロ円は、米WSJ紙が報じた大手銀による住宅の差し押さえ問題を嫌気してNYダウ先物が大幅に下落したほか、レーン欧州委員の「ギリシャの債務の償還は延長が可能だ」との発言が重石となり、東京市場ではリスク回避の円買いから114.717円まで軟化した。欧州市場に入ると、売りが一巡しNYダウ先物の下げ幅縮小などを受けて円を売る動きが優勢になり115.70円付近まで反発した。その後、NY時間では新規取引材料の乏しい中、ダマナキ欧州委員の「ギリシャは厳しい条件に合意できないなら通貨をドラクマに戻すべき」との発言をきっかけにユーロ売りが優勢になると115.00円付近まで下落した。引けにかけて、米株高や原油高を背景にリスク選好型の買いが観測され115.479円まで反発し取引を終えたものの、終値ベースでは前日から反落となっている。

                            今日の展開

市場の関心が欧州債務問題に集まるなか、ドル円はボラティリティー(変動性)がかなり低くなっており、方向感の出しづらい展開が続きそうだ。現水準である82.00円を中心としたレンジでは実需筋の動きも鈍く、レンジが動かないと実需筋は出てこない状況のようで、需給面からも動意に乏しい環境に変化はないだろう。また、テクニカル面でも引き続き分厚い雲を上抜けることができず、82.50円付近には75日、90日移動平均線など複数の上値抵抗線が控えておりドル買い一辺倒のシナリオは現在のところ考えにくいか。

ユーロは、本日もギリシャの債務再編懸念が強まっているほか、欧州高債務国の政局不透明感も浮上しており上値を抑える展開となろうか。前日はポルトガルに対する欧州連合の金融支援をフィンランド議会が承認したことで上値をトライする動きも考えられるが、欧州高債務国の信用不安は沈静化しておらず、ギリシャ国債のCDS保証コストは過去最高に上昇しており、ギリシャの債務再編から実質デフォルトになる可能性は低くないだろう。また、ギリシャがデフォルトに陥れば、格付け会社大手はポルトガルやアイルランドの格付けをジャンク級に下げる可能性があると警告しており、欧州金融不安再燃という最悪のシナリオも捨て切れない。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   81.50-82.50
ユーロ・円 115.00-117.50
ポンド・円 131.00-134.00

【今日の主な経済指標】
15:00 CHF  貿易収支 4月
15:00 DEM  輸入物価指数[前月比] 4月
15:00 DEM  輸入物価指数[前年同月比] 4月
15:45 FRF  消費者信頼感指数 5月
18:30 ZAR  卸売物価指数(PPI)[前月比] 4月
18:30 ZAR  卸売物価指数(PPI)[前年同月比] 4月
21:00 BRL  失業率 4月
21:30 USD  四半期実質国内総生産(GDP、改定値)[前期比年率] 1-3月期
21:30 USD  新規失業保険申請件数 前週分

≪2011年5月25日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ベア」


※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
リスク許容度の変化に安全通貨のドルと円が同一方向に動き、ドル円に動意は生まれなかっ
たため、ポジションに変化は見られず「ブル」となっている。日銀・金融政策決定会合議事
要旨で震災の影響でマインドの悪化も含め景気の先行きについて不透明感が高まっていると
の見解を示しており、円は積極的に買いづらい状況と考えられよう。しかし一方のドルも、
根強い欧州債務問題懸念を背景に安全資産の米国債が買われやすく、米長期金利の低下から
上値は重く、方向感は出にくいだろう。当面は欧州要人による発言や、欧州ソブリン問題に
関連した外部要因につられる展開となろうか。

ポンド円「ブル」
ギリシャの債務再編が難航していることや欧州高債務国のソブリンリスクの高まりを背景に
対ユーロでのポンドの上昇につられ、ポンド円は上値を切り上げており、参加者も「買い」
から入っているようだ。ただ、足元の英経済は英四半期国内総生産(GDP)の結果は市場予
測と同じ数値だったものの、英金融機関の格下げ懸念が燻っているほか、英中央銀行による
早期利上げ期待も後退していることから、積極的に買い進むのは困難なため慎重スタンスと
したい。

豪ドル円「ブル」
米格付け会社S&Pは「中国の金融引き締め政策は銀行の利益に打撃を与える可能性がある」
と発表したことや米大手投資銀行ゴールドマン・サックスが中国経済の見通しを下方修正
したことを受けて、中国と貿易で密接な関係にある豪経済への影響がでるのではないかと
の見方から軟化した。参加者は割安感から買い意欲が強く引き続き「強気」スタンスを維
持しているものの、ギリシャをはじめとした欧州高債務国の財政問題がメインテーマにな
るなか、リスク回避の展開に豪ドルが調整局面となる可能性は否めない。また、金や原油
といった商品相場の下落局面では、たまっているロングポジションを解消する目的の売り
が持ち込まれる可能性も想定されることから、下値への警戒は十分にしたい。

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