FXレポート

イースター休暇を控えたポジション調整に注意!

昨日のドル円だが東京市場序盤は、輸入決済の集中しやすい5・10日の仲値需要を見越した買いが散見されたほか、震災の影響で日本の3月通関ベース貿易収支が市場予想を大幅に下回ったことで円売りに拍車がかかると82.80円付近まで上昇した。その後も日経平均をはじめ上海総合が上昇したことからリスクポジションを取ることへの安心感が広がり、クロス円が軒並み上昇するのに連動して堅調な動きとなると、一時83.092円まで続伸した。しかし、欧州勢参加後は上値の重さが確認されると流れは一転下向きとなり対ユーロなどでドル安が進んだ影響を受け、82.70円付近まで反落。また、NY勢参加後も週末のイースター休暇を控えて投機筋が円売りポジションの解消に動くなか、一時82.258円まで下押しした。その後は米国の3月中古住宅販売件数は510万件と、市場の事前予想を上回ったことが下支えする場面も見られたが、引けにかけて75日移動平均のさしかかる82.50円に上値が抑えられると82.484円で取引を終え、5営業日続落となった。
 
ユーロ円は米インテルの好決算などを受けて日経平均やNYダウ先物が堅調推移となるなど、リスク選好地合いが継続したことや本邦貿易収支減少が円売り要因となって119.60円付近まで上昇。欧州市場入り後もフィンランドの次期首相マリ・キビニエミが「EU(欧州連合)によるポルトガルへの支援を妨げないと」報道されたことが救済計画が滞るとの懸念が後退したほか、スペイン国債入札の好調などを追い風に一時120円台を示現した。NY市場では利益確定の売りが散発的に入り120円割れしたものの、AT&Tなどの米企業決算が好調だったことでNYダウは一時200ドル超の大幅高になるなどリスク選好の地合いに変化はなく、高値圏が維持されると前日比+1.395円の119.779円で取引を終えた。

                             今日の展開

ドル円は米財政問題や米格付け見通し引き下げによる懸念から、積極的にドルを買える環境ではなく、もう一段ドル安を強いられる可能性もあろう。ただし、震災復興に取り組み始めた局面では急激な円高は好ましくないと主要国でコンセンサスが得られた状況下で一方的な円高も想定し難いほか、82円割れでは円売り介入の警戒感も根強いことから下落余地も限定されよう。週末に向けて指標など手掛かりに乏しい上、来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)や第1四半期GDP(国内総生産)が控えているため、様子見ムードが高まる可能性も否めず、82-83円付近でのレンジを見据えた展開を想定しておきたい。ただ、テクニカル面では5日移動平均線と25日移動平均線がデットクロスを形成しているように地合いが脆弱のなか、主要な移動平均線25日・75日・200日を下抜け、一目均衡表雲の水準が本日より心理的節目の80.00円付近まで一気に下がっており、ドル売りへのシグナルとして警戒したい。

ユーロは欧州債務問題など潜在的なダウンサイドリスクや、投機筋が今週末のイースター休暇前にユーロロングを巻き戻す動きには引続き注意しておきたい。しかし、独、ユーロ圏の製造業・サービス業PMIが改善したことを受け、改めてユーロ圏経済が良好であることを示したことで、再びECBによる追加の利上げ観測に注目が集まっており、再度上値を試す可能性があろう。対円ではチャネルシステムの下値支持帯である119.50円付近を大きく割り込まなければ、再び4月11日の高値である123.315円を窺う展開となろうか。また、今夜も米主要企業の決算発表が予定されており、ゼネラル・エレクトリック、マクドナルド、キャタピラー、モルガン・スタンレー、ゼロックス、フィリップモリスなど決算結果次第で株式市場のセンチメントが大きく変わることも考えられるため、NY市場ではリスク許容度の変化に注視しておきたい。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   82.00-83.00
ユーロ・円 118.00-122.00
ポンド・円 134.00-136.50

【今日の主な経済指標】
14:00 JPY  景気一致指数
17:00 DEM  IFO企業景況感指数
17:30 GBP  小売売上高
21:30 CAD  小売売上高
21:30 USD  新規失業保険申請件数
23:00 USD  住宅価格指数
23:00 USD  景気先行指標総合指数
23:00 USD  フィラデルフィア連銀製造業景気指数

≪2011年4月20日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
5営業日続落となったことで押し目を買いのチャンスと見る市場参加者が多く
約85%が「ブル」を支持している。東日本震災の影響が徐々に経済指標に数
値となって現れてきているなか、日本3月通関ベース貿易収支が市場予想を
大幅に下回る結果となっている。今後も、福島の原発問題が消費者心理に悪
影響を与える可能性を鑑みて長期的には円安傾向にあると考えられよう。た
だし、一方のドルも総合的な価値となるドルインデックスが74ドル台前半と
16ヶ月ぶりの低水準を記録するなどバイアスは弱気となるため、両通貨の弱
気材料が混在しているうちは方向感がでにくいだろう。

ポンド円「ブル」
シカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに
基づいて算出される恐怖指数は15ポイント付近まで低下し、リスク回避の目
安となる20ポイントを大きく下回り、市場参加者のリスク許容度も改善され
「ブル」となっている。しかし、昨日は英金融政策委員会(MPC)議事録の内
容が公表され、注目されていた政策金利の引き上げを主張した人数は、6対3
で前月と変わらず、資産買い入れ枠2000億ポンドの据え置きは8対1、こちら
も前月と変わらない内容となり、利上げ期待感が後退している。利上げ主張
のメンバーもセンタンス委員・ウィール委員・デール委員と変わり映えはな
く、利上げ期待のあるユーロに対しては、ポンドがアンダーパフォームとな
るだろう。

豪ドル円「ブル」
本邦3月通関ベース貿易収支(予想:3275億円 結果: 963億円)が悪化した一
方、豪第1四半期輸入物価指数(予想:0.9% 結果:1.4%)が予想を上回るなど、
日豪ファンダメンタルの違いは明らかで参加者の「強気」スタンスにも変化
はない。インフレのヘッジから金への資金流入や、米企業決算を好感したNY
ダウの上昇が続く限り力強い値動きとなるだろう、ただ、オーストラリアは
22日聖金曜日、26日復活祭、27日復活祭振替と土日を挟み5連休となるため、
ポジション調整が思いのほか進むようであれば、さらなる上値追いには注意
が必要となろう。

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