FXレポート

強い米雇用統計に「出口戦略」への期待高まる!!

金曜日のドル円は、コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁の「年後半までに政策金利を0.75%引き上げる可能性がある」との発言を受けた利上げ期待の高まりを背景に、東京市場序盤から堅調に推移した。その後は米雇用統計を見極めたいとの思惑から様子見ムードが強く、欧州市場序盤にかけて概ね83.65円付近で膠着となった。NY市場に移ると3月米雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数は前月比21万6000人増と市場予想平均の前月比19万人増より強く、失業率は8.8%と市場予想平均の8.9%とともに強い結果を反映し急伸。その後もプロッサー・フィラデルフィア連銀総裁やラッカー・リッチモンド連銀総裁からタカ派的な発言が伝わったうえ、米株式市場も堅調推移をしたことを受けて84.728円まで上昇した。引けにかけて、米長期金利が上昇幅を縮小したほか、利益確定の売りや週末要因のポジション調整が出て上値は切り下げられたが、前日比+0.809の84.013円で取引を終えた。

ユーロ円は東京市場で、今週木曜日のECB理事会での利上げ期待を背景にユーロ買いが強まったうえ、米利上げ期待の高まりを背景としたドル円の上昇につられ118.70円付近まで上昇。その後、ユーロ買いが一服し利益確定の売りに押されると118.20円付近まで反落したものの、欧州市場に入り米雇用統計を控えて様子見ムードから下値が限定的になると118.50円前後での小動きとなった。NY市場に移ると、強い3月米雇用関連指標にドル円が急ピッチで上昇すると、つれる形でユーロ円も上昇し2010年5月11日以来となる119円台を示現。その後も、ECBの金利先高感や米株式市場も堅調推移を背景に日通し高値を更新し119.515円で取引を終えた。
    
                              今週の展開

ドル円は、注目されていた米雇用統計が強い内容であったことから、ブラード(セントルイス)、ロックハート(アトランタ)、エバンス(シカゴ)、ローゼングレン(ボストン)と地区連銀総裁のタカ派発言が相次いでおり、強気のバイアスがかかっている。また、今週から本格的になる新年度での外債投資やキャリー・トレードが再開されるとの見方や、東日本大震災で内需縮小にともなう輸出減や財政悪化等を背景に円安が進行する可能性もあり、去年9月16日の高値水準となる85.90円付近まで上値余地が広がりそうだ。ただ、ダドリー・ニューヨーク連銀総裁は「我々は成長について過剰に楽観的になりすぎてはならない」などとし慎重な認識を示しており、米国の金融政策正常化に向けてFRB内でも意見が分かれており、6日午前3:00に予定されている米FOMC議事録公表を見極めたいところだ。また、約2週間ほどで8.50円の上げ幅と急激な円安・ドル高が進行しており、持ち高調整の動きがいったん強まる可能性から深追いは禁物となろう。

尚、米経済指標では5日に米ISM非製造業景気指数、7日に米新規失業保険申請件数、米消費者信用残高、8日米卸売在庫など住宅・消費者関連指標が軒並み発表される。

ユーロ円は、欧州周縁問題国のポルトガル、アイルランドの格下げはネガティブ要因であるものの、トリシェECB総裁、シュタルクECB理事、ビーニ・スマギECB理事などからは「ユーロ圏のインフレ率が水準を上回っている。ユーロ圏の金利が異常に低い」「徐々に利上げしていく」などの発言が今週も下支えとなりそうだ。また、木曜日のECB理事会で来月以降も段階的に利上げを実施するとの見方も浮上している一方、円は日本の低金利政策の長期化が濃厚となっている上、株高を背景としたリスク選好の円安と、日本の震災被害による景気停滞や財政悪化を懸念した円安が同時進行する可能性もあり、強気スタンスで臨みたい。ただ、急激な上昇となったことで120.00円付近では高値圏でもみ合いの可能性、木曜日の利上げ決定後には一時的に利食いにさらされる可能性もあるため、警戒をしておきたい。

[今週の予想レンジ]
ドル ・円   83.00-86.00
ユーロ・円 116.00-120.00
ポンド・円 133.00-138.00

【今週の主な経済指標】

4月4日
18:00 EUR ユーロ圏・生産者物価指数(前月比/前年比)

4月5日
13:30 AUS 豪中銀(RBA) 政策金利発表
16:58 EUR ユーロ圏・サービス業PMI(確報値)
17:28 GBP 英・サービス業PMI
18:00 EUR ユーロ圏・小売売上高(前月比/前年比)
23:00 USA 米・ISM非製造業景況指数

4月6日
3:00  USA 米FOMC議事録公表
17:30 GBP 鉱工業生産(前月比/前年比)
18:00 EUR 四半期GDP(季調済)(確報値)(前期比/前年比)
19:00 GER 製造業受注(季調済)(前月比)
23:00 CAN Ivey購買部協会指数

4月7日
19:00 GBP 鉱工業生産(季調済)(前月比)
20:00 GBP 英中銀(BOE) 政策金利発表
20:45 EUR 欧州中央銀行(ECB) 政策金利発表
21:30 USA 新規失業保険申請件数(前週分)
21:30 CAN 住宅建設許可(前月比)

4月8日    
8:50  JPN 国際収支-経常収支
15:00 GBP 貿易収支
15:00 GBP 経常収支
17:30 GBP 生産者物価指数(コア)(前年比)
20:00 CAN 失業率 / 加・雇用者数変化
21:15 CAN 住宅着工件数

≪2011年4月1日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ベア」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
米雇用統計は非農業部門就業者数が21万6000人増と強い数字になったほか、失業率は
8.8%と市場予想よりも良い結果となり「ブル」は継続されている。先週の金曜日も
プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁やラッカー・リッチモンド連銀総裁などから
タカ派意見が相次いでおり、「出口戦略」の高まりを背景にドル買い需要は見込めま
れようか。また、テクニカル面でも200日移動平均線や、心理的な節目となる84.00円
を苦もなく突破しており、トレンドが明らかに変わったと考えることができ、85円台
を試す動きとなるかに注目したい。

ポンド円「ベア」
強い米雇用統計や米金利先高感によるドル円の急騰につられ、ポンド円も上昇し年初
来高値となる135.821円をつけたことで、参加者のポジションは高値警戒感から「ブ
ル」→「ベア」へと変化している。今週の9日には英中央銀行(BOE)金利発表を控え
ているが、BOEは利上げに慎重な姿勢を示しており、積極的な買い材料になりにくい
との見方もある。一方、今週7日ECBが先んじて利上げに踏み切った場合、対ユーロで
は軟調推移となろう。ただし、対円は日本の震災・原発事故を懸念した円売りが強ま
る可能性があるため、底堅い推移となろうか

豪ドル円「ブル」
先月17日の73.973円までの暴落から11連騰となっているものの、参加者は強気な姿勢
を崩さず「ブル」を継続。中東での政情不安の高まりを背景に原油相場が上昇を続け
ており、資源国通貨である豪ドルは引続きアドバンテージtとなろう。また、米雇用
関連指標が強い内容であったことを背景にリスク選好の流れが強まっている事もサポ
ートとなりそうだ。ただし、対ドルでは1983年の変動相場制移行後の最高値付近にさ
しかかっていることで上値は重く、さらに上昇するには何らかの燃料投下が必要かも
しれない。

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