FXレポート

急激なドル高に警戒感?それとも円安トレンドの始まりか?

先週のマーケットは、米雇用統計の改善をきっかけに急速にドル買い・円売りが強まり、ドル円は一時97.782円の高値をつけた。97円超えは6月19日以来、約1ヶ月半ぶりであり、高値圏で推移したまま97.509円で取引を終えた。米雇用統計は、米経済・景気の回復を連想させ、米国株の上昇とあいまってドル選好の流れをつくる形となった。


注目された米雇用統計の結果は、失業率が9.4%と1年3ヶ月ぶりに改善を見せたほか、景気動向に敏感な非農業部門の就業者数も前月比24万7000人減と、6月の44万3000人減と比較して減少幅は大幅に縮小した。この発表がトリガーとなり、米雇用情勢に底が入ったと好感され景気回復への期待感が上昇、主要通貨に対しドル買い圧力が急激に高まった。ドル円は95円前半から上昇基調となり、96円を超えるとロスカットを強く巻き込み一気に97円台へ上昇。その後も売りオーダーをこなしながら97.782まで上昇し97.509で引けた。

ユーロドルは、米雇用データ発表後のドル買いにつれて対ドルで売られ、高値1.44138ドルの水準から、一気に下落し1.41539ドルの安値をつけた。安値圏でもみ合いを続け、結局1.41774ドルで引けた。

ポンドは、米雇用統計改善を受けて対ドルで連れ安、高値1.68341ドルから安値1.66494ドルをつけた。RBS決算発表で2年間は厳しい状況が継続するとの見解を見せたことなどもポンド売りの材料となり、引けは1.66858ドルで取引を終えた。ポンド円は、一時162.724円と08年11月以来の高値を付け、162.724円で引けた。


                 今週の展開

先週末の米雇用統計の改善を受け、ドル買いの流れが継続するかに注目が集まる。7月の雇用統計の結果は、雇用悪化が底打ちを示している可能性があり、今後も雇用の改善が続くようであると、景気回復に向けてのトレンドの開始を示唆することになる。米国株式市場の上昇が続けば、ドル買いは更に強まることになり、ドル円も100円に向けて上値模索となる展開が想定される。

一方で、米政府は失業率10%に上昇する見通しを維持しているとも伝えられており、今回の雇用統計の改善が今後とも継続すると見るにもリスクが伴う。また、住宅ローンの大部分を占めるプライムローンの焦げ付きが目立ち始めたという報道もあり、ドル買いが継続的かどうかは、依然とし慎重なスタンスが必要となる。この点からは、ドル円の上昇は限定的となり、一旦は利益確定のドル売りからドル円の上値の目処は98.60~80となるか。

今週は火曜日からFOMCの開催が予定されており、FRBの景気認識が注目される。特に、金融システム支援に向けて実施してきた措置の出口戦略について具体的なコメントが出てくるようだとドル買い圧力に繋がることになる。逆に、依然といて景気認識について、政府支援が必要であるとのコメントであるとドル売り圧力が強くなろう。


[予想レンジ]
ドル ・円   96.20~98.60
ユーロ・円 136.20~139.80
ポンド・円 158.30~163.30


【今週の主な経済指標】

8/10
08 : 50(日) 6月機械受注
08 : 50(日) 6月国際収支
08 : 50(日) 日銀金融政策決定会合(~11日)
13 : 30(日) 7月企業倒産件数
15 : 00(日) 7月工作機械受注
15 : 30(豪) 7月外貨準備高

8/11
08 : 01(英) 7月RICS住宅価格
10 : 30(豪) 7月NAB企業景況感指数
10 : 30(豪) 7月NAB企業信頼感指数
14 : 00(日) 7月消費者態度指数
17 : 30(英) 6月商品貿易収支
21 : 15(加) 7月住宅着工件数
23 : 00(米) 6月卸売在庫
23 : 00(日) 日銀政策金利

8/12
06 : 00(英) 週間ABC消費者信頼感指数
08 : 50(日) 7月国内企業物価指数
13 : 30(日) 6月鉱工業生産
17 : 30(英) 7月失業率
18 : 00(欧) ユーロ圏6月鉱工業生産
18 : 30(英) 英中銀金融政策委員会議事録
18 : 30(英) 英中銀四半期インフレ報告
21 : 30(加) 6月国際商品貿易
21 : 30(加) 6月新築住宅価格指数
21 : 30(米) 6月貿易収支

8/13
03 : 00(米) 7月月次財政収支
03 : 15(米) FOMC政策金利発表
18 : 00(欧) ユーロ圏第2四半期GDP
21 : 30(米) 7月小売売上高
21 : 30(米) 週間新規失業保険申請件数
23 : 30(米) 6月企業在庫

8/14
07 : 45(NZ)6月小売売上高
08 : 50(日) 日銀金融政策決定会合議事録
18 : 00(欧) ユーロ圏7月消費者物価指数
21 : 30(加) 6月製造業出荷
21 : 30(加) 6月新車販売台数
21 : 30(米) 7月消費者物価指数
21 : 30(米) 7月鉱工業生産
22 : 15(米) 7月設備稼働率
22 : 15(米) 8月ミシガン大学消費者信頼感指数


 さて、マーケット参加者のポジションは......

 ≪2009年8月7日クローズ時点≫
 ドル・円     : ベア
 ユーロ・円   : ベア
 ユーロ・ドル :  ベア
 英ポンド・円 :  ベア
 豪ドル・円   : ベア
 NZドル・円   :  ブル

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。


 ドル・円は「ベア」
 ブルを示し続けてきたドルだが、米雇用統計の改善を受け、急激なドル高による利益確定により
 ロングポジションの多くは解消、変わって高値警戒から「ベア」となっている。
 しかし、本格的な景気回復であると市場が捉えれば、さらに高値を臨む展開も遠い話ではないかもしれない。
     
  ユーロ・円は「ベア」
 前日から高値水準を維持していた中での連れ高から、ドルよりも警戒感は強いと言わざるを得ない。
 主な買い要因もみつからないことから、短期的な下落リスクも視野に入れておきたい。

 ポンド・円は「ベア」
 良好なファンダメンタルズから、ユーロ円以上に高値で推移していたが、米雇用統計を受けさらに高騰を見せた。
 しかし、マイナス要因としてRBS決算発表でのネガティブな見解などの重石が、高値に冷や水を浴びせかねない。

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