FXレポート

米雇用統計- 米国材料だけではドル円上昇は限定的か

昨日のマーケットは米新規失業保険申請件数が減少したことなどを材料にドルが買われ、対照的にユーロ・ポンドが売られる展開となった。

NY時間には発表された新規失業保険申請件数は6週連続で縮小。市場予想(58万人)を下回る55万人に留まった。雇用を取り巻く情勢に楽観論が台頭し、翌日の雇用統計の改善を先取りしたドル買い拡大。ドル円は一時日中高値となる95.820円まで上昇した。しかし、NYダウが年初来高値更新後、マイナス圏へ軟化したことからポジション調整が進み、NY終盤ではドル売りをこなすことが出来ずにドル円は95.436円で引けた。

ユーロは、ECB政策金利発表を控え様子見ムード強く、狭いレンジでの取引で推移した。その後、大方の予想の通り金利据え置き決定したが、一方でトリシェ総裁が会見で欧州景気について弱い見解を示したことがユーロ売りを誘い序盤の高値1.44310ドルから、1.43291ドルの安値をつける展開を見せ、引けは1.43525ドルとなった。

ポンドは、BOE政策金利発表が注目されたが、結果は予想通り据え置きとなった。ただし、市場予想に反してたのが量的金融緩和策の大幅拡大を発表。景況感の回復から金融引締めの可能性を折り込んでいた市場とは全く逆の結果となり、これをを嫌気してポンド売りが加速した。ポンド円は、日中高値162.389円から安値159.968円へ急落。その後の反発も鈍く160.161円で引けた。

本日のマーケットは最大イベントとなる米雇用統計に注目。昨日の失業保険申請件数の減少を初めとして、市場には楽観的な見方が広がっている。ただし、冷静に米国景気をみるとオバマ大統領が指摘のとおり、失業率10%の可能性が高い中で消費主導の景気回復は限定的と見ておくことが現実的であり、米国材料だけでドル買い及びドル円の上昇を見込むのは注意が必要だ。
ただし、翻って本邦経済の状況をみると、株価こそ上値基調であるものの政治不在のリスクは増大中となっており、選挙後には自民・民主どちらにころんでも財政出動の増大は避けられず、円の信任が問われる局面がくる可能性も高い。

ドル材料だけではドル円の上昇は限定的であるが、円材料が台頭してくると100円を射程に捕らえる可能性も高くなるか。

[予想レンジ]

ドル ・円   93.80~ 97.20
ユーロ・円 135.40~138.40
ポンド・円 158.50~162.50


【今日の主な経済指標】

10:30  AUD  RBA四半期金融報告
17:30  GBP  生産者物価指数
20:00  CAD  失業率
21:30  USD  失業率
21:30  USD  雇用統計:非農業部門雇用者数


 さて、マーケット参加者のポジションは......

 ≪2009年8月6日クローズ時点≫
 ドル・円      :ベア  
 ユーロ・円   :ベア 
 ユーロ・ドル :ベア
 英ポンド・円 :スクウェア
 豪ドル・円   :ブル 
 NZドル・円   :ブル


 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

 ドル・円は「ベア」
 米新規失業保険申請件数が6週連続で減少したことを好感されドル買いが進み、
 クローズ時点でのポジションは高値警戒からのベア。
 本日発表の米雇用統計の如何によっては波乱の巻き起こしかねず、
 予想外の値動きに警戒する必要がありそうだ。

 ユーロ・円は「ベア」
 トリシェ総裁が欧州景気が弱含んでいる見解を見せたことから、大きく売りを誘ったが、引けはオープン時近辺の水準を保ったため、ショートポジションの解消には繋がらなかったようだ。さらにユーロが売られれば、今週中にベアから転換する可能性も低くない。引き続き注視したい。

 ポンド・円は「ベア」
 市場予想に反する量的金融緩和の大幅拡大から急落。前日からのショートポジションはかなり解消を見せスクウェア。
 本日は、英生産者物価指数の発表などの材料も待ち構えており、更に売りを浴びせるのか、それとも押し目買いなのか、どのような動きを見せるか注目したい。



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