FXレポート

米中首脳会談、米企業決算に注目!

昨日のドル円は、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の規模拡大期待後退を背景に対ユーロでの円買いが強まったことでオセアニア時間には82.60円付近へとつれ安となった。東京時間序盤も仲値公示にかけて本邦輸入企業の買いに一時82.75円付近まで上昇したが、米中首脳会談を控えて人民元の対ドル基準値が2005年7月以来となる高値に設定されたことを受けて、82.50円付近へとじり安に推移した。欧州勢参加後も米長期金利の低下を受けた金利差要因によりドルは上値が圧迫されたほか、ロシア政府がスペイン救済といった報道からユーロが買い戻し優勢となったことを受けて、主要通貨に対してドル売りが強まると小幅ながら82.45円付近まで下押しした。NY時間に移っても上値は重く、ニューヨーク州製造業景況指数が市場予測を下回ったことを受け82.30円付近まで続落した。ただ日足一目均衡表の雲下限82.30円がサポートとして意識されて下げ止まると、米長期金利の上昇などを材料にしたドル買いが入り、引けにかけて82.80円まで値を戻し82.585円で取引を終えた。

ユーロ円は、前日のユーロ圏財務相会合でEFSFの規模拡大に関して、意見の相違がみられるなど失望感が台頭した上、英経済指標の上振れを受けた対ポンドでのユーロ売りが波及し東京市場序盤には109.60円付近と前日安値を試す展開となった。しかし、売り一巡後はエル・スペイン紙パイスがジューコフ露副首相の発言として「ロシア政府はスペイン国債の購入を再開することを検討している」と報じたことがサポートされ欧州市場序盤にかけて110.25円付近まで持ち直した。その後も、クドリン・ロシア財務相が「EFSF債の購入に興味を持つ可能性がある」と述べたことが好感され上、ドイツの1月ZEW景況感調査が15.4と市場の事前予想(7.0)を大きく上回り、2010年7月以来の高水準となったことを支援要因に一時111.149円と大幅に続伸した。上昇後は急ピッチで値を上げたこともあって利益確定の売りが出たほか、ノボトニー・オーストリア中銀総裁が「短期的には政策金利変更の必要性は見られない」などと述べたと伝わると伸び悩み110.545円で取引を終えた。

                             本日の展開

ドル円は、方向感に乏しいレンジ内の取引が続くなか、本日は胡錦濤国家主席とオバマ米大統領との首脳会談に注目が集まっている。人民元改革が最大の焦点となるものの、同主席はドル基軸通貨体制の見直しを求めているなど米中双方の金融政策に隔たりは大きく、人民元切り上げに関してはなかなか進展しない可能性もあり、過度の円高警戒は剥落され値動きは限定されそうだ。また、こちらも注目の米企業決算だが本日もゴールドマン・サックスとウェルズ・ファーゴの決算発表が22:00に予定されており、好結果からNYダウがさらに上値を伸ばすことができれば、リスク選好型の円売りにつながりやすい上、米長期金利も上昇しやすくドルのサポートとなるだろう。しかし、好業績はある程度織り込まれていることから株価上昇へのハードルが高くなっている面もあり、好決算にもかかわらず株価が伸び悩む展開も想定しておきたい。

ユーロは、EFSFの融資規模拡大の動きや、トリシェECB総裁のタカ派発言から早期利上げ期待を背景に上昇となっているが、欧州信用不安は依然不透明な上、利上げに関してもマーケットの期待が先行しており、一旦は調整が入る可能性があるだろう。ノボトニー・オーストリア中銀総裁は18日「トリシェ欧州中央銀行総裁のタカ派的発言は一方的に解釈された」「短期的には政策金利の変更の必要性は見られない」と述べて先走る利上げ観測に釘を刺した。また、ウェーバー独連銀総裁も18日「インフレリスクは現時点では多かれ少なかれバランスがとれている」「ECBの政策金利は適切」などと発言し、早期の利上げが現時点では必要ないとのスタンスを示した。現状の利上げを過剰に織り込んだ水準がこれから徐々に是正されると考えられ、利上げの憶測を背景としたユーロ買いが巻き戻されていく可能性は否定できないだろう。ただ、日足一目均衡雲の下限である110.00円付近のレジスタンスを明確に上抜けた場合には、75日移動平均の差しかかる111.50円まで上昇余地がありそうだ。


[今日の予想レンジ]
ドル 円   82.00-84.00
ユーロ円 108.70-110.50
ポンド円 129.00-133.00

【今日の主な経済指標】

18:00 EUR 経常収支
18:30 GBP 失業率
18:30 GBP 失業保険申請件数
19:00 EUR 建設支出
21:00 USD MBA住宅ローン申請指数
22:30 USD 住宅着工件数
22:30 USD 建設許可件数
22:30 USD 製造業出荷

≪2011年1月18日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ベア」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
ドル円はレンジ内でもみ合いが続いた為、参加者のポジションにも大きな変化はなく
「ブル」となっている。昨日も押し返された83.00円付近ではオプション絡みの売り
や輸出企業の売りなども混在し、強いレジスタンスを形成している。また、テクニカ
ル面でも82円台後半には複数の移動平均線が入り組んでおり、日足一目均衡でも雲の
中心に位置していることで動意のつきにくいチャートとなっている。短期的には雲下
限82.30円付近から雲上限82.90円付近までの値動きも想定され、レンジ内では逆張り
が有効となろうか。

ポンド円は「ベア」
英国の12月消費者物価指数(CPI)が前年比+3.7%と市場の事前予想(+3.4%)を上
回り、2010年4月以来の強い伸びを記録したことで6営業日続伸したが、今年に入り約
7円上昇している為、高値警戒感から逆張りの売り注文も多く「ベア」優勢となった。
付加価値税(VAT)増税に伴う便乗値上げでインフレ加速が見込まれることから、英
中銀による早期利上げ観測の声が一段と高まる可能性が出てきた。しかし、英住宅価
格は下落が続いており、インフレの原因である商品市場高は、増税とともに個人消費
を圧迫する為、足元のインフレから過度な利上げ期待を抱くのは注意する必要もあり
そうだ。

豪ドル円は「ブル」
NYダウが堅調に推移していたことで下値を探る展開とはならかった上、中国人民銀行
による預金準備率引き上げを受けた豪ドル売りが一服したことでショートカバーが優
勢になり「ブル」となった。中国の追加引き締め観測がネックとなるものの、人民元
の切り上げ観測に関しては豪州の対中輸出にとってはプラス材料と受け止められる可
能性もあるだろう。ただし、洪水の影響で豪経済にブレーキがかかることは避けられ
ず、豪準備銀行の追加利上げは先送りとなる可能性が高そうだ。昨年までの上昇軌道
に戻るには、もう少し時間がかかりそうだ。

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