FXレポート

本格化する米企業の昨年10‐12月期決算に注目!

昨日のドル円は、オセアニア市場序盤で米国のメドレー・グローバル・アドバイザーズ社が出しているレポートで「経済・金融情勢次第では資産買い入れプログラムの延長はない」との見解を示したことが意識され一時83.40円付近へと上昇した。しかし、東京市場に移ると83.50円付近では本邦輸出企業のドル売りオーダーが意識され次第に上げ渋りとなった上、欧州の財政懸念がやや緩和される中、対ユーロを中心にドル売りが強まったことも手伝い83.10円付近まで弱含みの展開となった。欧州市場序盤ではGLOBEXのNYダウ先物が上げ幅を拡大したほか、時間外取引で米10年物国債利回りが上昇したため、日米金利差拡大を意識した円売りドル買いが散発的に入り83.461円と日通しの高値を更新した。ただ、NY時間では次第に上値を切り下げ、前日高値83.45円付近では戻りを売る動きが出たほか、対ユーロ中心にドル売りが加速した影響で対円でもドル売りが優勢となった。また、引けにかけて米10年債の入札が堅調だったとの見方から米長期金利が上昇幅を縮小すると、一時82.808円まで売られ82.978円で取引を終えた。

ユーロ円は、ECBによる国債買い入れ観測から欧州ソブリンリスクが後退したことを背景にユーロ買いが優勢になったNY市場の流れを引き継ぐ中、東京市場でも日経平均の底堅い推移を受けてリスク選好の円売りが強まったことで108.35円付近へと上昇してスタート。買い一巡後はノーベル賞経済学賞を受賞したピサリデス氏の「EUにはスペイン救済の資源はない。スペイン破綻ならユーロ終えんの恐れがある」などとの発言が重石となり107.90円付近へと反落。しかし、欧州勢参入後はGLOBEX のNYダウ先物や欧州株が堅調な値動きとなり、リスク許容度が高まる中、108.20円付近まで反発した。注目されたポルトガル国債入札は10年債が応札倍率3.2倍(前回2.1倍)平均落札利回り6.716%(前回6.806%)となり、前回から応札倍率は上昇し、平均落札利回りは低下する結果となった。必ずしも好調な結果とは言えないが、イベントリスクだった国債入札が無難に終了した事で安心感が広がった上、メルケル独首相が「我々はユーロ支援に必要なことを支持する」とし、レーン欧州委員も「欧州金融安定ファシリティーの事実上の融資資金を補強し、活動範囲を拡大させるべきだ」と支持を表明したこで一時109.022円まで上昇した。NY市場ではストップロスを断続的に巻き込むと高値をキープして108.954円で取引を終え2日続伸となった。

                              本日の展開

ドルは、本格化する米企業の昨年10-12月期決算に注目が集まるなか、本日は米半導体大手インテル、明日は米銀大手JPモルガン・チェースが予定されており、決算内容が好調となれば追い風となろう。ただ、米株式市場では好業績の期待値が高まっていることで一段高になるにはハードルが高いと考えられ、ドル上昇には相当強い数字が必要となる為、楽観視は禁物だろう。テクニカル面では日足一目均衡表の雲上限82.90円に加え、同基準線や75日移動平均が控える82.70円などが対円のサポートとして意識されており底堅そうだ。また、一目均衡先行スパンの雲上限を挟んで振り幅を徐々に縮小する動きとなっており、雲上限に沿って横ばいが続いた場合は82.50-83.50円のレンジ内での値動きも予想され、逆張りも有効となりそうだ。しかし、米長期金利が3.30-3.50%を上下どちらかを試す展開となった場合は、動意づく可能性があり、今夜日本時間明朝午前3時に予定されている米30年債入札が注目材料となろう。

ユーロは、ポルトガルの国債入札が無難に消化したものの、いずれ同国がEU/IMFへの支援要請に追い込まれるとの見方は根強く、引き続き警戒は必要となろう。ソクラテス・ポルトガル首相は、支援要請を否定しているものの、ギリシャとアイルランドも当初否定しながら、最終的には支援要請を余儀なくされた経緯がある。また、テクニカル面でも109.40円付近に差し掛かる25日移動平均線や日足一目均衡の基準線に上値を抑えられる形となっており、突破するには材料不足は否めないか。しかし、同水準を明確に上抜けることができれば、1月4日高値110.25円付近まで上値余地が広がることも考えられるだろう。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   82.00-84.00
ユーロ・円 108.00-110.25
ポンド・円 129.00-133.00

【今日の主な経済指標】

16:00 DEM 卸売物価指数
18:30 GBP 鉱工業生産指数
18:30 GBP 製造業生産指数
21:00 GBP イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
21:45 EUR 欧州中央銀行(ECB)政策金利
22:30 CAD 貿易収支
22:30 USD 新規失業保険申請件数 前週分
22:30 USD 卸売物価指数(PPI)
22:30 USD 貿易収支

≪2011年1月12日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
今週は83円を中心にボックス相場となっているが、同水準ではドル買いに人気が
集まりやすく参加者の80%近くが「ブル」となっている。昨晩、米地区連銀経済
報告(ベージュ・ブック)で経済・雇用の緩やかな改善が報告され、各地域にお
ける経済の回復が指摘されたことはサポートとなりそうだ。ただ、主要通貨に対
するドルの値動きを示すドルインデックスは一時80.00付近まで低下しており、
仮に80を割り込むと展開となればドルの地合いが悪化する可能性が高く注意が必
要となろう。

ポンド円は「ブル」
本日の英中銀金融政策委員会では、金融政策は据え置かれるとの見方が多勢を占
めているものの、インフレ抑制のため、早ければ今年3月にも利上げに踏み切る
との見方も浮上しており参加者は「強気」だ。また、欧州ソブリンリスクが高ま
ればユーロ売り・ポンド買いでサポートされる一方、信用不安が緩和されればユ
ーロにつれ高となる可能性が高く、目先はどちらに転んでも買われやすい地合と
なっている。テクニカル面でも5日移動平均線と25日移動平均線がゴールデンク
ロスを形成しているように地合いは強いといえよう。

豪ドル円は「ブル」
マッキビンRBA(豪準備銀)理事の発言として「クイーンズランド州を襲った洪
水により、GDPが最大1%ポイント減少する可能性がある」と報じるなど被害拡大
懸念の台頭から一時81.729円まで下押したものの、売り一巡後は買い戻しが優勢
になって「ブル」となった。金・原油など商品相場も上昇しており、リスク選好
の局面ではリバウンド狙いの買いも検討したいが、洪水被害がさらに拡大するよ
うなら、豪ドルを敬遠する動きが一段と加速する可能性は否めず、豪政策金利の
引き上げ観測も大きく後退していることから、引き続きバイアスは弱気となりそ
うだ。

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