FXレポート

ドル・ユーロ共に債券利回り・株価に左右される展開か!?

金曜日のドル円は、オープン直後にこの日の高値となる83.888円をマークした後は国内輸出企業の円買いに押されるかたちでじりじりと値を崩した。米国時間に控えた米公式雇用統計が警戒されていたため下落は緩やかなものであり、欧州勢参入後も大きな動きは見られなかった。注目されていた雇用統計では、非農業部門雇用者数が(予想:15.0万人、結果:3.9万人)、失業率が(予想:9.6%、結果:9.8%)と共に市場予想を大きく下回ったことが嫌気され急落した。1日に発表されたADP雇用統計が強い結果となり上振れ期待があったために、その反動から下落幅は大きくなり11月23日直近安値82.781円を下抜け82.53円付近まで値を崩した。その後、FRBが68.1億ドルの国債購入を実施する等、米10年物国債利回りが上昇に転じたため値を戻したが、下向きの流れを変えることは出来ず82.595円で取引を終えた。

ユーロ円は東京時間こそ国内輸出企業の円買いによって値を崩したが、欧州時間に発表されたユーロ圏サービス部門購買担当者景気指数が(予想:55.2、結果:55.4)、ユーロ圏小売売上高が(【前年同月比】予想:1.0%。結果:1.8%)と、予想を上回る結果を受けて上昇、更にECB(欧州中央銀行)がポルトガルとアイルランドの国債を購入したことを受け、アイルランドやポルトガルの国債とドイツ国債の利回りスプレッドが縮小したことで上昇に弾みがつき111.107円まで値を伸ばした。米国時間に入ると米雇用統計の悪化を受けたドル円の急落に連れ安となり109.868円まで値を崩したが、対ドルでの上昇によって相対的にユーロ買いが優勢となると110.984円まで値を戻した。上下に大きく値が振れる1日となったが、日足ベースで見ると、前日クローズとほぼ同水準の110.800円で取引を終えた。

                                今週の展開

ドル円は雇用統計の結果を受けて米雇用環境への懸念が高まり、FRBの積極的な金融緩和政策が長期化するとの見方から弱含みの展開が予想される。今週も経済指標発表が複数予定されているものの、先週程インパクトの強い指標ではないため、米国債利回りの他、主要国の株価動向やユーロ圏債務問題等の外部要因も配慮する必要があるだろう。なお、米国債利回りにおいては7日の3年債、8日の10年債、9日の30年債入札の実施が予定されているため入札結果にも注意したい。一方、テクニカルでは金曜日の急落によって上昇トレンドが崩壊しているため、目先はどこまで調整が進むか注目される。上昇トレンドの起点となった11月1日安値80.239円から11月29日直近高値84.402円までの上昇に対する38.2%押しを既に達成していることから、61.8%押しとなる81.829円までの下落も想定しておきたい。

ユーロ円は、ECBがアイルランドやポルトガルの国債買い入れによって利回りの低下を促しておりユーロ圏債務問題に対する極度の懸念が和らいでいるため底堅い動きとなっている。また、米雇用統計の弱い結果を受けて対ドルでの上昇が継続していることも支援材料となっている模様。12月1日の反発によって底を打ったかのようにも見えるが、ユーロが売られている根本的な要因であるPIIGS諸国の財政問題は何一つ解決していないため、PIIGS諸国の債券利回りが再び上昇した場合、ユーロ売りが再開する展開も想定しておきたい。値崩れした場合の下値目標は11月30日直近安値108.342円、反対に株価や対ドルでの上昇を受けて上値試しとなった場合の目標は11月25日直近高値111.901円が意識される水準となるだろう。


[今週の予想レンジ]
ドル ・円   80.50-84.40
ユーロ・円 106.00-113.70
ポンド・円 128.00-133.50

【今週の主な経済指標】

6日
22:30 CAD 住宅建設許可件数

7日
00:00 CAD Ivey購買部協会指数
08:50 JPY 外貨準備高
09:01 GBP 英小売連合(BRC)小売売上高調査
12:30 AUD 豪準備銀行(中央銀行)、政策金利発表
14:00 JPY 景気一致指数(CI)
15:45 CHF 失業率
18:30 GBP 製造業生産指数
18:30 GBP 鉱工業生産指数
20:00 DEM 製造業新規受注
23:20 CAD カナダ銀行 政策金利

8日
05:00 USD 消費者信用残高
06:45 NZD 四半期製造業売上高
08:50 JPY 機械受注[前月比]
08:50 JPY 国際収支・貿易収支
08:50 JPY 国際収支・経常収支
08:50 JPY マネーストックM2
10:30 AUD 住宅ローン件数
16:00 DEM 貿易収支
16:00 DEM 経常収支
16:45 FRF 貿易収支
16:45 FRF 財政収支
20:00 DEM 鉱工業生産
21:00 USD MBA住宅ローン申請指数
22:15 CAD 住宅着工件数

9日
05:00 NZD ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中央銀行)
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況(対外中長期債)
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況(対内株式)
08:50 JPY 四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
08:50 JPY 四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
09:30 AUD 失業率
09:30 AUD 新規雇用者数
15:30 FRF 非農業部門雇用者・改定値
16:00 DEM 消費者物価指数(CPI、改定値)
17:00 ZAR 四半期経常収支
18:00 EUR 欧州中央銀行(ECB)月報
18:30 GBP 貿易収支
21:00 GBP イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
22:30 USD 新規失業保険申請件数
22:30 CAD 新築住宅価格指数

10日
00:00 USD 卸売在庫
08:50 JPY 国内企業物価指数
08:50 JPY 四半期法人企業景気予測調査・大企業業況判断指数(BSI)
14:00 JPY 消費者態度指数・一般世帯
16:45 FRF 鉱工業生産指数
18:30 GBP 卸売物価指数(食品、エネルギー除くコアPPI)
22:30 USD 輸出物価指数
22:30 USD 貿易収支
22:30 CAD 貿易収支
23:55 USD ミシガン大学消費者態度指数・速報値

11日
04:00 USD 月次財政収支

≪2010年12月3日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
雇用統計を受けて流れが下向きに変わったにも関わらず「ブル」は継続している。逆
張りスタンスのため下落局面ではブルの比率が高まる傾向にあるが、流れに逆らった
ポジショニングの場合、警戒は怠れないだろう。なお、一目均衡表日足転換線が下向
きとなり、MACDが急速に悪化していることから短期的には下値を試す展開も想定して
おきたい。

ポンド円は「ブル」
11月30日直近安値129円前半で下値を支えられ、日足ベースではかろうじて130円台を
キープしており底堅さから「ブル」は継続している。しかし、回復傾向にあるユーロ
に対して下落基調にあるため、ユーロ買いによって地合いが悪くなった場合、底割れ
する可能性も否定出来ないため注意が必要だろう。

豪ドル円は「ブル」
対ドルで急騰しており「ブル」は継続している。対円での上昇幅は僅かなものとなっ
ているが、対ドルでは11月22日直近高値に接近しており、金曜日も高値引けとなって
いることから更なる上昇が期待される。対ドルでの上昇に連れ高となった場合、11月
22日直近高値82.996円を目標に値を伸ばす展開も想定しておきたい。

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