FXレポート

日銀金融政策決定会合、米10月雇用統計が焦点!!

昨日の東京市場のドル円は、米追加緩和策の発表によるドル売りも一巡し、短期的な材料出尽くし感や米経済指標の改善により、ドルキャリー取引のポジション解消が警戒され81.00円付近では下げ渋ったが、本邦輸出企業の為替予約が切り下がる展開から上値が重くなると、ストップを巻き込んで80.80円付近まで下落した。しかしその後は、米国に追随し前倒しで実施されている日銀金融政策決定会合での追加緩和期待や、米経済指標の改善を背景に日経平均をはじめアジア主要株価が底堅く推移したことからリスク回避も抑制されたため円高も一服となり、欧州勢参入後にはドルの買戻しが先行し81円台を回復した。ただ、欧州時間中盤はFRBの金融緩和策を背景にユーロなどの主要通貨に対してドル売りが優勢だった為、上値は重く再び81円を割れる動きとなった。NY時間では前週分の米新規失業保険申請件数が予想よりも悪かった(予想:44.2万件 結果:45.7万件)ことを受けて米10年物国債利回りの低下幅が拡大すると、日米金利差縮小が意識されて円買い・ドル売りが進みこの日の安値となる80.588円まで下げた。引けにかけても安値圏でのもみ合いが続き80.757円で取引を終えた。
    
ユーロ円だが、東京市場序盤はECB理事会を控えて様子見ムードも強く、114.50円付近で一進一退の展開となったものの、欧州勢参加後は対ドルの上昇につられた上、株価の堅調推移もサポート材料となり115.415円まで上値を拡大した。トリシェECB総裁の記者会見は「ECBの金利は適切だ」「ECBは金融政策のシグナルを送っていない」とし、現時点で政策を変更する意思がない事を示した。ただ、「12月の理事会で、今後の流動性供給策について議論する」とし、次回の会合が金融緩和の解除に向けた転換点になる可能性を示唆、ユーロ買いに拍車がかかった。しかし、会見が終了すると欧州市場の序盤から急ピッチで上昇したこともあり、いったん材料出尽くしとして利益確定の売りが入り上げ幅は縮小、114.698円まで反落し取引を終えた。

                         本日の展開

本日のドル円だが、FOMCの決定は予想の範囲内ではあるものの、米国債買い入れ額はMBS償還分の再投資を含めると8,500-9,000億ドルにのぼる上「買い入れペースと規模を定期的に見直し、必要に応じて調整する」と追加金融緩和の可能性を示唆しており、ドルの上昇余地は限定的となる可能性は否めない。また、81円付近では本邦輸出企業の売り意欲も強いとみられ、80円台後半には押し戻される展開が考えられることから、戻り売りが有効となろうか。しかし、今夜21:30に10月米雇用統計の発表を控えてISM製造業雇用指数や米ADP雇用統計をはじめ足元では雇用関連指標の改善が目立つなど明るい材料もでてきている。コンセンサスは失業率が9.6%(前回9.6%)非農業部門雇用者数変化は6万人(前回-9.5万人)となっている。非農業部門雇用者数が10万人程度の増加ならば上昇し、5万人以下の増加ならば下落といった値動きとなろうか。

ユーロはECB理事会では、目新しい発言が見られなかったが「12月の理事会で、今後の流動性供給策について議論する」とし金融緩和解除に向けた発言が好感された。また、本日は日銀金融政策決定会合を控えて円を買いづらい状況や、NYダウが米追加金融緩和策を好感して大幅高となり、11434.84ドルと、リーマン・ショック直前の2008年9月12日の終値を上回って終了した事もあり、リスク選好の流れからも底堅い値動きとなりそうだ。しかし中期的には欧州ソブリンリスクは依然燻っており、ギリシャの財政問題は解決を先送りしただけでいずれ破たんするのではとの見方もできる。いつ相場の関心が欧州ソブリンリスク移ってもいいよう警戒だけはしておきたい。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   79.75-82.00
ユーロ・円 113.50-115.50
ポンド・円 129.50-133.50

【今日の主な経済指標】

18:30 GBP  卸売物価指数
19:00 EUR  小売売上高
20:00 DEM  製造業新規受注
20:00 CAD  新規雇用者数
20:00 CAD  失業率
21:30 CAD  住宅建設許可件数
21:30 USD  非農業部門雇用者数変化    
21:30 USD  失業率
23:00 USD  住宅販売保留指数
04:00 USD  消費者信用残高

≪2010年11月4日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ベア」
 豪ドル・円  :「ベア」
 NZドル・円  :「ベア」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
クロス円では参加者のショートポジションが優勢な1日となったが、ドル円に
限っては80%以上が「ブル」で変化は見られなかった。本日は米国の雇用統計
に加え、日銀の金融政策発表が予定されている。会合の内容次第ではあるが、
仮に先月5日の金融政策決定会合で発表した基金による資産買い入れの早期実
施以外に新たな施策が出なければ、失望売りとなる可能性もあり、弱気バイア
ス維持となろうか。

ポンド円は「ベア」
英中銀は政策金利を0.50%、資産買い入れ枠を2,000億ポンドで据え置くと発表
し、市場では金融政策の現状維持が有力視されていたが、追加緩和は見送られ
たことで一時131.511円まで上昇した。高値警戒感から短期的な売りが散見し
わずかに「ベア」が勝った。直近では10月25日の安値126.448円から約5円ほど
上昇しており割高感はあるが、強い内容となった英第3四半期GDPや、英ハリフ
ァックス住宅価格-10月は予想を大幅に上回る結果となり、昨年5月以来の伸び
を記録するなどファンダメンタルから堅調な展開も予想される。また、対ドル
はテクニカル面で10月の戻り高値である1.6100付近を上抜けしたことにより、
上昇トレンドが再開した可能性が高まっているように思える。

豪ドル円は「ベア」
豪9月小売売上高が前月比+0.3%と予想の同+0.5%を下回った上、豪第3四半期
小売売上高も前期比+0.7%と予想の同+1.1%から下振れ、さらに豪9月貿易収支
も+17.60億豪ドルと予想の+20.00億ドルを下回ったことを受けてロングの手仕
舞いや新規売りに押され「ベア」となった。しかし、日米豪の金利差は一段と
拡大しており、基本スタンスは高金利通貨・資源国通貨を選好する流れになっ
ていると考えられることから、対ドル、対円とも上値を拡大する展開を予想し
てみたい。

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